伊藤信太郎環境相と水俣病患者・被害者らの懇談の進行表。「時間を短くしたから後でしゃべらせろと言われた場合」などの記述がある=東京都千代田区で2024年5月10日午後1時11分、山口智撮影

 水俣病患者らの発言制止問題を踏まえ、伊藤信太郎環境相が環境省の担当職員の増員を打ち出したことに対し、水俣病被害市民の会の山下善寛代表(83)は「体制強化はいいことだが、組織の問題にすり替えてはならない」と指摘した。患者認定を巡る課題を発言中にマイク音声を切られた山下さんは「被害の広がりや深さを把握するための調査もせず、全体像が分からないまま何ができるのか。認定を求める被害者を切り捨てる今の国のやり方を根本から改めないと水俣病は解決しない」と訴えた。

水俣病問題を担当する職員を増員すると表明した伊藤信太郎環境相=東京都千代田区で2024年5月10日午前8時42分、山口智撮影

 また、水俣病胎児性小児性患者・家族・支援者の会の松永幸一郎代表(60)は「これまでもたった3分間の持ち時間で切迫した患者の状況をなんとか伝えようと努力してきた。水俣病公式確認の日(5月1日)の重みを考えれば、この日にこそ患者と向き合う方法を考えてほしい」と話した。【西貴晴】

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