栃木県那須町で夫婦の遺体が焼かれた状態で見つかった事件をめぐり、新たに2人の男が逮捕されました。

■一緒に仕事「パパ、ママと呼ぶ間柄」

遺体を損壊した疑いで逮捕されたのは、宝島さんの娘の内縁の夫、関根誠端容疑者(32)です。警視庁は、一連の犯行の首謀者とみています。関根容疑者は、宝島龍太郎さん(55)が経営するいくつかの飲食店で人材採用やマネージャーを担当していました。宝島さん夫婦のことは『パパ、ママ』と呼ぶ間柄だったといいます。

関根容疑者を知る人
「(関根容疑者は)メニューをめっちゃ見る。『たこ焼きは原価率がこれで…』という話をする。『20円しかかかっていないのに400円で売れたら良くない?うちの店でも出さない?』みたいな感じで言っていて。『でも、この店のここは何とかした方がいいんじゃない』『そうだね』というのを(宝島さん夫婦と)3人で話していた。『パパはどう思う?』と言っていて(宝島)龍太郎さんは我が強くないから『いいんじゃない』と」

6日は営業していた宝島さんの店も、関根容疑者の逮捕を受けて7日は休業です。

関根容疑者を知る人
「(Q.関根容疑者と最後に会ったのはいつ)会ったのは事件前の日曜日。(Q.事件後に電話をしている)している。(Q.事件の話は)事件の話に関しては全然。(Q.一緒に仕事をしていた身としては)つらい。非常に。会社内でそういうことあったら、みんな(従業員)の生活も心配。(宝島さんの)娘の家族も心配。言葉がない」


■「後を継がせる」から一転…何が

宝島さんは10店舗以上の飲食店を経営し、不動産事業や雑貨の輸入販売を手掛ける2つの会社を経営していました。妻の幸子さん(56)と娘は取締役に名を連ねていましたが、今年1月、娘が辞任します。宝島さんと10年以上の付き合いがある知人によると…。

宝島さんと10年以上の知人
「半年くらい前に『先々、娘と関根に移行していく』と。2〜3カ月前には、知り合いからもめているらしいと聞いて。『ここは俺の金を使った店だから、手が届かないところを任せているだけ』『意見が変わった』と」

当初、宝島さんは関根容疑者に後を継がせるつもりだったようですが、3カ月ほど前に突然の心変わり。今後も自分で会社を続けていくことを決めたといいます。


■“飲食店をめぐるトラブル”とは…

これが事件の引き金となったのでしょうか。実際、夫婦が亡くなった直後から、関根容疑者が飲食店を取り仕切るようになります。栃木県那須町の山あいで焼けた遺体が見つかったのは、ちょうど3週間前。その翌日、関根容疑者が従業員にメッセージを送っていました。

遺体発見翌日に関根容疑者から従業員へ送られたメッセージ
「tomorrow
every shop are close
can you tell everyone
あす全店舗を閉める。みんなに伝えて」

関根容疑者はアメリカの大学に通っていたとの情報もあり、メッセージは全て英語です。そして、事件から2週間ほど経つと…。

関根容疑者
「give me a time to check
mom made some note that about stuffs salaly
(調べるからちょっと待って。ママが従業員の給与についてのメモを作ったから)」

給与だけではありません。売り上げの回収も関根容疑者と親しい人たちが行うようになったといいます。事件後に関根容疑者と電話で話した、肉の卸業者は…。

肉の卸業者
「集金がちょっと遅れていたので1日に電話して『すみません。今すぐ振り込みますから』と。『今後ともちゃんとやっていくので、よろしくお願いします』と。(Q.関根容疑者と面識は?)あります。必ず新店舗ができたら先頭切ってやっていた。一生懸命手伝っている感じ。見た目怖いですけど、腰が低くて丁寧」

これまでに唯一、動機について語られたのは、平山容疑者のこんな供述でした。

平山容疑者
「宝島さんについて、飲食店をめぐってトラブルがあった」

その飲食店をめぐるトラブルとは、他店とのトラブルではなく、身内でのもめごとだったのかもしれません。では、何でもめていたのか。

関根容疑者を知る人
「トラブルというか、仕事上の色々ないざこざというか、意見が合わなかったことはある。(Q.どういう意見が合わなかった)営業に対してとか、新店を出していくうえで内装の仕方の違いとか。そういう面で合わないのは仕事上あるでしょ、どこの会社でも。(Q.大事件と結びつくか)ここまでの事件になるとは思ってもみなかった」


■もう1人の容疑者との関係は

関根容疑者の逮捕から約7時間半後にもう1人。不動産会社を経営する、前田亮容疑者(36)が逮捕されました。宝島さん夫婦の知り合いだったということです。首謀者とされる、関根容疑者との関係は…。

前田容疑者の仕事関係者
「基本的には2人で事務所に入ってくることが多かった。関根容疑者が年下だけど、ため口で話している感じで、仲が良い友達みたいな関係かなと。(Q.どんな話をしていた)『お金になる話があるよ』とか、僕らの目の前でしていたんで。『お互いお金欲しいよね。お金稼いでやりたいね』と」

関根容疑者がオーナーを務める飲食店に前田容疑者が顔を出すこともあったといいます。

前田容疑者の友人
「食事を始めてしばらく経ってからオーナー(関根容疑者)が入ってきて、前田容疑者が『よう』とあいさつをする感じで。ワインだったと思いますが差し入れを渡して。よく来ているお店なのかなと思った」


■6人の容疑者 それぞれの役割は

これで容疑者は6人。ようやく犯行グループの全体像が見え始めました。首謀者とみられる、関根容疑者。そして、遺体の処理を指示した、佐々木容疑者。平山容疑者は、車やガソリンなどの準備をして、実行役の2人に遺体の処理を依頼しました。前田容疑者は、不動産業者であることに意味があったようです。

捜査関係者によると、事件が発覚する前夜、宝島さん夫婦と前田容疑者の3人で上野を歩く姿を防犯カメラが捉えました。この日は、都内の物件を探していたといいます。そこに、関根容疑者も合流して、前田容疑者が用意したレンタカーで品川区に向かいます。そこは空き家でした。この物件を取り扱っていたのが、前田容疑者の不動産会社だったのです。ここで実行役とされる2人、若山容疑者と姜容疑者が加わりました。ガレージからは血痕が見つかっていて、ここが夫婦の襲われた現場とみられます。

では、誰が夫婦に暴行を加えたのか。捜査関係者によると、前田容疑者は取り調べに対し「空き家に行った」と話していますが、関根容疑者は一貫して「空き家には行っていない」と話しているといいます。

ここからは、それぞれの供述の裏付けを急ぐ形となりそうです。警視庁は、今回逮捕された関根容疑者と前田容疑者の認否について明らかにしていません。


■殺人容疑での立件は…

事件を取材している社会部警視庁担当の石出大地記者に聞きます。

(Q.6人は死体損壊容疑で逮捕されていますが、このうちの誰かが宝島夫婦に暴行を加えたのでしょうか。捜査はどこまで進んでいますか)

石出大地記者
「警視庁は今回、夫婦が殺害されたとみて捜査しています。暴行現場とみられている品川区内の空き家周辺には、平山容疑者を除く5人の容疑者が集まっていましたが、そのうち佐々木容疑者の役割が分かってきて、離れた所から空き家を見張っていたとみられています。その後、那須町に向かって行った車の中に、血の付いた鈍器などがあったこと、さらに“4人の供述など”から、警視庁はその車を実際に運転していた姜容疑者と若山容疑者、この2人が暴行に関与したのではないかとみて、証拠を固める作業をしています。

(Q.死体損壊容疑で逮捕されていますが、捜査が進むなかで、殺人容疑での立件はあり得ますか)

石出大地記者
「その可能性は十分考えられます。警視庁は、実行役2人、さらに他の4人についても殺人容疑で再逮捕することも視野に捜査しています。というのも、直接手を下していないとしても、殺害するように指示を出していたり、殺害すると分かっていて準備を行っていたとしたら、共謀共同正犯、要するに共犯として逮捕できる可能性もあるからです。警視庁は今後、事件の首謀者とみられる、関根容疑者の携帯電話の解析や聴取を進めていく方針です」

▶「報道ステーション」公式ホームページ

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。