水俣病慰霊式の後、伊藤環境大臣と患者らの団体との懇談会が1日、行われました。
伊藤環境大臣:「皆さまのお話をうかがえる重要な機会だと」
与えられた時間は、1組3分。
水俣病と認定されないまま亡くなった妻について話すのは松崎重光さん(82)。
妻を亡くした松崎重光さん:「『会社が水銀を垂れ流さなければ、こうならなかったのにね』と私はいつも家内と話していました」
環境省職員:「申し訳ございません、話をおまとめください」
持ち時間が過ぎると、職員が話を遮ります。音量は絞られ、マイクは取り上げられました。
ほかの参加者に対しても。
水俣病被害市民の会・山下善寛代表:「チッソは…」
環境省職員:「話をおまとめください」
水俣病をめぐっては、被害を訴えながらも、患者と認定されていない人々が、今なお全国で苦しんでいます。当事者の高齢化が進むなか、その声を聞く貴重な時間のはずでした。最後のあいさつで、大臣は、こう述べました。
伊藤環境大臣:「胸の締め付けられる思いです」
環境省職員:「時間ですので、これを持ちまして懇談を終了いたします」
抗議に対し、職員は。
水俣病被害者の会・中山裕二事務局長:「(マイクの)音量を調節したんですか、されてないんですか」
環境省職員:「事務局の不手際です。申し訳ございません」
水俣病被害者の会・中山裕二事務局長:「不手際とは、やったってことだね。音量を絞ったってことだね」
環境省職員:「事務局の不手際でございます。誠に申し訳ございませんでした」
荷物をまとめながら釈明する職員と、騒然とするなか立ち去ろうとする大臣。
参加者:「マイクを切ったことについて、どう思われますか」
伊藤環境大臣:「私はマイクを切ったことを認識していません」
参加者:「認識できたでしょう」
環境省職員:「時間ですので」
患者らの声に背を向けて、部屋を出ていきました。
遮られながらも懸命に言葉を紡いだ松崎さん。3日、改めて思いを聞きました。
妻を亡くした松崎重光さん:「(マイクの)スイッチを切るなんて、おかしいじゃないですか。人間の常識では考えられないですね。母ちゃんが泣いて、苦しんで苦しんで逝ったから、3分間でもなんでも聞き取り方じゃないですか。やっぱり本当に聞こうと思えば、時間の問題なんか関係ない」
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