ときおり涙ぐみながら、ノーベル平和賞受賞を巡る思いを語る金本弘さん=愛知県庁で2024年12月4日午前9時53分、荒川基従撮影

 ノーベル平和賞を受賞する日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表団の一員として、授賞式が10日に行われるノルウェーのオスロを訪れる日本被団協東海北陸地域代表理事の金本弘さん(80)=名古屋市守山区=らが4日、愛知県庁で記者会見を開いた。金本さんはオスロ大学で開かれる市民との交流会で被爆証言をする予定で、「自分の体験から、(核兵器がもたらす)悲惨な状況や人類と共存できない核兵器の恐ろしさを伝えたい」と話した。

 広島に原爆が落とされた時、生後9カ月だった金本さんは爆心地から2・5キロ地点で、15歳の姉に背負われた状態で被爆した。血で真っ赤に染まった体を防火用水に頭から入れられ、口の中からがれきを出してもらい、頰をたたかれて息を吹き返したという。

 金本さんは会見で、受賞を知った時の驚きを説明しながら涙ぐみ、「平和賞を力にして、戦争のない世界、核兵器廃絶、日本の核兵器禁止条約への参加といった、私たちが抱えている大きな問題の解決を前進させたい」と話した。また「私たちが『知られたくない、でも知ってもらいたい』と悩み、苦しみながら証言してきたことが一番大きな力になっている」と指摘し、世界各地で起きている若い人たちによる被爆者の運動の継承が受賞の理由の一つになっていることもオスロで伝えたいと述べた。

 愛知県原水爆被災者の会(愛友会)によると、代表団は被爆者12人、被爆2世18人、被爆3世2人など計55人。8~13日の日程でオスロを訪れる。【荒川基従】

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