伊賀流忍者博物館(三重県伊賀市上野丸之内)で忍者ショーを演じて人気の「伊賀忍者特殊軍団 阿修羅」で15年間、くノ一として活躍してきた未央さん(36)の引退公演が11月30日、博物館のステージであった。引退を惜しむ人たちで約200席のステージは満席になった。ショーは未央さんがほぼ出ずっぱりの構成にされ、得意のバク転や二丁鎌、かぎ縄術などを次々と披露した。東京・上野公園で開催された伊賀上野NINJAフェスタin上野恩賜公園の舞台でも24日、引退が報告されていた。【大西康裕】
見せ場ふんだん 有終の美
「くノ一・未央」(本名・渡辺未央)は岐阜県恵那市出身。小学1年生から体操を始めた。伊勢市の皇学館高校でインターハイ、東京女子体育大学で全日本選手権などに出場した。大学を卒業した2010年4月、「阿修羅」の一員になった。頭領(かしら)の浮田半蔵さんに教えられ、年間1000回超のステージをこなす阿修羅に欠かせないメンバーとなった。
米国や中国など海外公演も経験した。21年4月には東京オリンピックの聖火リレーで、伊賀市を走るランナーの最終走者を務めた。22年10月にバイクを運転中の事故で大けがをした。左足の甲から指先にかけてが重傷だった。入院、リハビリテーションをへて23年8月に復帰した。しかし、半蔵さんによると、左足は限界に達しており、結婚も控え、いくつかのタイミングが重なって、11月30日が最後になった。最終公演の開場時間前から花束を持った人たちが列をつくった。開場すると、半蔵さんが「世界で見せてきた技を披露します。大声援よろしくお願いします」と言ってラストステージの幕が開いた。
最後のバク転を決め、笑顔でポーズを取った未央さんに大きな拍手が起こった。忍者博物館を運営する伊賀上野観光協会の宮崎慶一会長は「世界ナンバーワンのくノ一」と称賛。稲森稔尚市長は「頑張ってくれたことは誇りです」とこれまでの貢献に感謝し、「予算をつけます」と忍者観光振興に言及して客席は一層盛り上がった。
会場には未央さんの両親も「よく15年頑張った」と駆けつけていた。未央さんは「こんなに来てもらえて感謝しかありません。15年間あたたかく見守ってもらいありがとうございました。ぶっちゃけやめたくないと思いました。どんなときでも平常心でいることを鍛えられた。伊賀で学んだことを生かします」と話した。年明けに恵那市に戻る予定だ。
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