2019年5月に閉店した宇都宮市中心部のファッションビル「宇都宮パルコ」跡について、スポーツ用品販売大手のゼビオ(福島県郡山市)が取得する方向で地権者と交渉を始めたことが21日、関係者らへの取材で判明した。早ければ年内にも契約を締結する可能性もあり、取得すれば同社の本社機能を移転する方針。実現すれば、中心市街地活性化に向け大きく前進する。
1997年にオープンしたパルコは2003年度(03年3月~04年2月の会計年度)にテナント売上高97億円を記録、若者を中心に人気を集めていた。しかし、郊外に大型商業施設ができ、JR上野東京ラインの開通で都心への移動の利便性が高まったことなどから、次第に空きテナントが目立つようになり19年に撤退した。その後、後継テナント誘致を目指したが、なかなか決まらず地元経済界からは長引く市内中心部の空洞化を懸念する声が上がっていた。
今回、取得を調整しているゼビオの親会社「ゼビオホールディングス」は東証プライム上場企業。全国にスポーツ用品店「スーパースポーツゼビオ」などを展開している。23年3月には、スポーツの価値をまちづくりに生かすとした連携協定を宇都宮市と締結し、ゼビオの本社機能を郡山市から宇都宮市に移転すると発表。移転時期や場所について検討していた。パルコ跡の取得について同社は「まだ取得はしていない。候補物件の一つとして理解してほしい」と述べた。
同社は、宇都宮市への移転について、アジア最高峰の自転車ロードレース「ジャパンカップ」や、3人制バスケットボール「3X3」の国際大会を開催しスポーツのまちづくりなどを推進していることなどを挙げ「健康都市という考え方に一致した」としている。
一方、17日の宇都宮市長選で6選した佐藤栄一市長は、2030年の次世代型路面電車(LRT)のJR宇都宮駅西側延伸を目標に掲げる。パルコ跡が面する大通りを通過する予定だ。
佐藤市長は市長選の公約を発表する会見で「年度中ぐらいにはまとまるように行政もフル回転で支援するという約束をして、サポートをしている」とパルコ跡の活用を示していた。宇都宮市の担当者は同社のパルコ跡取得について「成り行きを見守っている。正式に決まれば大変喜ばしい」と話した。【松沢真美、村田拓也】
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