ソチ・オリンピックで表情豊かに演技する鈴木明子=ロシア・ソチのアイスベルク・パレスで2014年2月19日、貝塚太一撮影

 冬季オリンピックに2大会連続で出場するなど輝かしい成績を収めたプロフィギュアスケーターの鈴木明子さん(39)は、摂食障害を乗り越えた苦労人だ。

 両親が遅くに授かった一人っ子。摂食障害になったのは「完璧な母」からの期待に応えようと、自分も「完璧」を目指し、重圧になったことが背景にあるという。

 6歳でスケートを始めて以来、練習に打ち込んできた。高校生だった2001年にはジュニアグランプリ大会の女子シングルで優勝するなど頭角を現したが、大学進学後に摂食障害を発症し、休養を余儀なくされた。

 摂食障害を治そうと自分を見つめ直すうちに、スケートだけでなく勉強などあらゆる場面において「できて当たり前」という母からの無言の圧力を感じてきたことに気付いた。「親の期待に応えようという思いや、何でもできなきゃいけないという固定観念にすごく縛られていた」と振り返る。

 その気付きから、親子の関係性が変わり始め、摂食障害を乗り越えられた鈴木さん。今では互いに褒め合うだけでなく、改善点を指摘するなど適切なフィードバックをする心地の良い関係性に変わった。「母の人生と娘の人生は違うもの。一人の人として客観視し、寄り添えるようになれば、頑張れと背中も押せる」と鈴木さんは晴れやかな笑顔を浮かべた。【面川美栄】

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