腐食して断裂したレール。奥にはレールの頭部が残っている=北海道森町で2024年11月16日午後6時20分(JR北海道提供)
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 北海道森町のJR函館線森―石倉間で貨物列車が脱線した事故を巡り、JR北海道は18日に札幌市で記者会見し、レールの著しい腐食が原因の可能性が高いと説明した。9月に行った点検で著しい腐食は確認できていなかったという。原因は特定できておらず、運輸安全委員会が調査を急いでいる。

 JR北によると、下り線の右側レールの腹部が腐食。新品だと15ミリの部分が、3・9メートルにわたって約3ミリになっていた。当該部分の交換は32年前。管内で腐食による脱線は初めてという。

脱線事故の発生を謝罪するJR北海道の島村昭志鉄道事業本部長(中央)ら=札幌市の同社本社で2024年11月18日午後4時2分、片野裕之撮影
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 JR北は脱線区間について、7月に年1回の定期検査を実施。探傷車で傷を確認し、9月に超音波探傷器で細密検査をした。レール底部の腐食は基準値内で、レールの腹部や底部を覆っている敷板を外しての確認を行わなかった。

 JR北の島村昭志鉄道事業本部長は記者会見で「敷板を外して見るというルールにできていなかったことが事象が発生した大きな原因」と述べた。運輸安全委の鉄道事故調査官が派遣されており、調査結果を待ちって専門機関や他社を参考に点検方法を見直すという。

 JR北は17~18日、鹿部―長万部間で、貨物走行線区、海沿い、経年30年以上などの脱線区間と同様の特徴を持つ七つの踏切を超音波や目視で点検した。これにより、安全を確認できたとして、19日始発から通常運転を再開する見込みだ。今後、超音波検査の対象を増やすという。

 事故は16日午前1時40分ごろ、走行中のJR貨物の列車(21両編成)のうち5両が脱線。18日まで札幌―函館間で一部が運休し、約1万9500人に影響が出た。【片野裕之、伊藤遥】

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