天候が穏やかで登山者が増える傾向にあるゴールデンウイーク(GW)に向け、県警が山岳遭難への注意を呼びかけている。昨年はGW期間中に6人が遭難し、そのうち60代男性が死亡した。登山届を出さずに遭難するケースも目立つといい、県警の担当者は「万が一遭難した時に備え、登山届の提出を」などと話している。【加藤佑輔】
2019年は50件だった山岳遭難は、新型コロナウイルス禍でアウトドア人気が高まったことを背景に増加が続いている。県警地域総務課によると、23年の遭難は94件で統計を取り始めた1995年以降で最多。死者は8人だった。また、遭難者107人のうち、登山歴1年未満の割合が全体の約3割(31人)を占めた。
県警は「初心者ほど軽装で登山したり、自分の実力以上の山を選んだりする傾向がある」と指摘。安全に登山するための対策として、明るいうちに下山する計画を作成▽防寒具や雨具、食料・飲料の携帯▽家族に行き先を伝え、計画も共有――などを呼びかけている。単独ではなく、2人以上での登山も推奨している。
また、23年の遭難事故のうち、登山届が提出されていたのは全体の32%にとどまった。登山届の提出は任意だが、万が一遭難した際、捜索の大きな手がかりとなる上に、登山者は当日の行動をシミュレーションすることで、事故のリスクを減らすことにもつながる。
提出は登山口に設置されたポストや県警ホームページ、スマートフォンの登山アプリからも可能だ。県警は、登山アプリ「YAMAP(ヤマップ)」や「Compass」(コンパス)などと連携し、アプリ内で提出した登山計画を共有する仕組みを作っている。
同課の担当者は「自分の身を守るためにも登山届は必ず出していただきたい。自分の体力を考えた上で無理のない計画的な登山を楽しんでほしい」と話している。
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