ヤンバルクイナの羽には掃除屋の「良いダニ」がいる-。東邦大学の脇司准教授と法政大学の島野智之教授らの研究グループは26日までに、ヤンバルクイナだけに寄生する新種のウモウダニを発見したと発表した。その名も「ヤンバルクイナウモウダニ」(和名)。研究は24日付で、日本動物分類学会誌「Species Diversity」に掲載された。

 発見された新種のダニは、世界共通の学名を「メタナルゲス・アガチ」と命名。「アガチ」は、ヤンバルクイナが地元で昔から呼ばれていた愛称アガチ(あわてんぼう)から取った。

 研究グループによると、鳥の羽に寄生するウモウダニは、羽表面の古い油や付着する菌類、バクテリアなどを食べて生活する。血を吸わず、羽のごみを取り除くことから、鳥も利益がある「相利共生者」と考えられるという。ウモウダニには特定の種類の鳥にのみ寄生するものが多く、宿主と共に進化してきたのも特徴だ。

 ヤンバルクイナウモウダニは、雄の脚が少し短いなど既知種と体の形が異なることから新種と判断された。グループが、2008年から20年にかけ収集されたヤンバルクイナの標本の羽300枚以上を調べ、発見したという。

 環境省レッドリストの絶滅危惧IA類に指定されるヤンバルクイナに寄生するウモウダニもまた、絶滅が危ぶまれる。東邦大の脇准教授は「生物に種名をつけることは、何を守るのかを明確にすることでもある」と意義を語り、「沖縄の生態系はまだ未知な部分が多い。明らかにする一助になればうれしい」と喜んだ。

(北部報道部・比嘉海人)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。