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 1日から始まった新型コロナワクチンの定期接種において、ファイザー、モデルナ、第一三共、武田薬品工業から提供されている4種に加え、新たにMeiji Seika ファルマのワクチンが追加された。他の4種と異なり、レプリコン(自己増殖型)であることで、ウイルスに対抗するタンパク質を作るmRNAを細胞内で一定期間、自己増殖させるため、接種する量が少量でも長い期間効果が得られるという。

 ただ、体内で自己増幅することで、コロナウイルスを望まない人にシェディング(伝播)してしまう懸念があると日本看護倫理学会が発表。不安の声が広がり、レプリコンワクチンを接種した人の入店を拒否する事業者も出始めている。ただし、Meiji Seika ファルマによると、1万6100人の臨床実験でシェディングや有害な効果の報告は確認されていないという。真偽不明な情報が飛び交う中、『ABEMA Prime』では医師に、レプリコンワクチンの詳細を聞いた。

■従来のmRNAワクチンとレプリコンワクチンの違いは

 従来のmRNAワクチンと、新たに作られたレプリコンワクチンは何が違うのか。mRNAワクチンは、体内でコロナウイルスへの抗体を生むことにつながるスパイクタンパクを生成する。mRNAを注射した分だけスパイクタンパクが作られることになり、例えるならばmRNAは設計図だ。一方、レプリコンワクチンはこの設計図となるmRNAだけでなく、コピー機の役割を果たすレプリカーゼもともに注射。体内で設計図(mRNA)が複製されることになるので、少量のワクチンでも体内で多くのスパイクタンパクを作ることができ、期間もmRNAワクチンより長くなるという。医療データサイエンス企業MeDiCUのCEOで医師の木下喬博氏は、レプリコンワクチンについて「何かの部品の作り方を体に注射するワクチン。戦い方を覚えるということ」と表現した。

 ところがこの「体内で増殖する」ということが、ウイルスそのものが体内で増えるという誤った認識で伝わっているというのが、木下氏の見解だ。ネット等で物議を醸しているシェディングは、感染者がウイルスなどを出して非感染者に移してしまうことを指すが、木下氏は「レプリコンワクチンにはウイルスは含まれておらず感染させることはない」「ワクチンの成分自体が他者に入り込み、未接種者が接種済みの状態になることもない」と説明する。さらに「シェディングは本当に何か突拍子もなくて、科学的なデータも何もない。増殖型といっても、無限に増え続けるわけでもない。SNS上で心配する人もいるけれど、その心配には及ばない」と語った。

■改めて考えるワクチンとの向き合い方

 メディアでもほとんど報じられなくなっているが現在、新型コロナウイルスの流行は「第11波」まで来ている。この間、新型コロナウイルスが原因で死亡した人は10万人を超えたが、医師の診断書に「ワクチンが死因」と書かれたものは2022年から2023年の1年間では60人。ただ、厚労省の有識者会議で、ワクチン接種と死亡の因果関係について「否定できない」と評価したのは2人にとどまっている。4月1日公表のワクチン総接種回数は延べ約4億3619万回に達する。

 今回のレプリコンワクチンに関しては、各所で「入店拒否」が起きた。たとえば美容室では「接種した方(同居者含む)の来店を固くお断り…」、ヨガ教室であれば呼気・汗での伝播を懸念し「安全性が確認できるまでお控えを…」、さらに一部医療機関でも来院・接種自体の懸念を示し「未接種の患者様の安全を守るため…」という理由で、接種者の入店を断っている。

 元厚生労働大臣の塩崎恭久氏は、ワクチンに対する改めての理解を求めた。「ワクチンはやはり公衆衛生の基本中の基本。もう一つ大事なことは、あらゆる薬は全てリスクがあり、そのリスクと薬で治る・予防できる、このメリットと比べてみて、どちらが大きいかを冷静に科学的に納得した人が受けること」と述べた。市販の風邪薬においても、個人の体質、相性によっては大きな負担が出ることもある。「一定のリスクがあるんだということは、きちっと子どものころから理解をしてもらった上で、メリットと比べてそれぞれ選んでもらう。メッセージを正確に、科学的に判断してもらえるように、行政はもうちょっと頑張ってほしい」と厚労省などに、国民にわかりやすい情報提供をするよう求めた。
(『ABEMA Prime』より)

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