沖縄県本部町の備瀬公民館で24日、紅芋の新品種「サン紅(べに)」が発表された。外見も中身も鮮やかな紫色で、甘みが強い。近くで育てていたサツマイモと紅芋がいつの間にか自然交配し、それぞれの良さを兼ね備える奇跡が生まれた。「まるで神様からの贈り物」。育ててきた農家の仲宗根清正さん(76)と照子さん夫妻は喜ぶ。
もともとは紅芋の「備瀬1号」を栽培していた清正さん。2017年に親戚からサツマイモの「おきひかり」をもらい、隣の畝に植えた。半年後に収穫しようとすると、おきひかりの列から10個だけ表面が赤い芋が出てきたという。
切ってみると、おきひかり本来の黄金色ではなく、紅芋よりも鮮やかな紫色。味はサツマイモのように甘い。気付かないうちに自然交配した結果だった。
県の北部農林水産振興センターに持ち込むと、新品種であることが判明。農林水産省に品種登録を申請し、22年3月31日に「サン紅」が登録された。その後、安定生産できるように工夫を重ねた。
「真面目に生きてきたご褒美にお天道様がくださったのかもしれない」と清正さん。新品種の名前は、英語の「サン(太陽)」と紅芋の「紅」を合わせた。「太陽の紅芋」のキャッチコピーで売り出すことを考えている。
品種登録では調査員から(1)甘みが強く、焼き芋にも適している(2)栄養素が他の芋より多く含まれている(3)茎が細く葉っぱが小さい(4)病気に強い-などと評価された。
本部町農林水産課の平安山良信課長は「仲宗根さんと協力し、町を代表する特産品に育てたい。ふるさと納税の返礼品としても有望だ」と期待する。
仲宗根さん夫妻は「サン紅」を栽培する農家や、商品開発の協力者を募っている。問い合わせは、電話090(9482)5189。(北部報道部・松田駿太)
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