民間の有識者らで作る「人口戦略会議」が24日、全自治体の4割に当たる744自治体が「消滅可能性自治体」に該当するとの試算を公表した。このうち四国4県では、全国の該当自治体の7・6%に当たる57市町村が消滅可能性自治体とされた。四国の自治体関係者からは「厳しい状況を重く受け止めたい」との声が聞かれた。
四国4県には計95の市町村があり、うち6割が消滅可能性自治体として分類された。4県別では、高知25(全自治体数34)▽徳島16(同24)▽愛媛12(同20)▽香川4(同17)――だった。消滅可能性自治体の中でも、自然減と社会減の両方の対策が喫緊で求められる「特に構造的に深刻な自治体」として全国で23自治体が類別されており、四国では唯一、高知県北川村が入った。
今回の試算で新たに消滅可能性自治体とされたのは、四国では6自治体。うち高知県が、安芸市▽奈半利町▽本山町▽佐川町――の4自治体で、残りは鳴門市(徳島県)と四国中央市(愛媛県)。香川県はゼロだった。
今回の調査で消滅可能性自治体から脱却した自治体も11あった。香川県が最多の5自治体で、善通寺市▽観音寺市▽小豆島町▽直島町▽綾川町。ほかは徳島県の上勝町と板野町、愛媛県の今治市と砥部町、高知県の馬路村と芸西村だった。
試算では、2020年からの30年間で20~39歳の女性人口が半数以下となる自治体を「消滅可能性自治体」と定義する一方、減少数が20%未満の自治体を「自立持続可能性自治体」と位置付けている。自立持続可能性自治体は全国で65市町村に上るが、四国ではゼロだった。
四国で消滅可能性自治体が最も多かった高知県は、人口減少対策を県政最大の課題と位置付け、24年3月に総合戦略を策定した。34歳以下の若年人口の減少を食い止め、27年度に対前年比で減少数をゼロにし、その後は増加に転じさせる目標だ。
ただ、24年4月1日現在の県の推計人口は前月比2833人減の65万9592人で、県に残る統計で最少だった1907年の66万1374人を下回り、史上初めて65万人台に落ち込んだ。県の担当者は「今回のデータは国立社会保障・人口問題研究所の推定が前提だが、改めて県の厳しい状況が示され重く受け止めている。若年人口の減少を何とか食い止め、持続可能な人口構造にするよう努力したい」と話した。
14年に「日本創成会議」がまとめた前回の分析では消滅可能性自治体ではなかったが、今回、徳島県内で唯一、消滅可能性自治体に「転落」した鳴門市。市戦略企画課の担当者は「あくまで(確定ではなく)消滅の『可能性』として受け止めている。人口戦略会議の公表資料を分析し、今年度中に策定する市の総合戦略の参考にしたい」と話した。
徳島県の後藤田正純知事は「静かなる有事である『人口減少』と、それに伴う『労働力不足』について具体的に数字で示され、厳しい状況と重く受け止めている。『未来に引き継げる徳島』の実現に向け、人口減少対策を加速する」との談話を発表した。【植松晃一、小林理、鶴見泰寿、広瀬晃子】
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