福岡市内の町並み=曽根田和久撮影

 10年ぶりに「消滅可能性自治体」の試算が公表され、全体の半数弱にあたる744自治体が将来的に消滅する可能性が高いとされた。今回は100年後も持続していると考えられる「自立持続可能性自治体」や、他地域からの人口流入に依存する「ブラックホール型自治体」という分類もあり、持続可能な街づくりに取り組む全国の自治体からはさまざまな声が上がった。

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 九州・沖縄は「自立持続可能性自治体」が34に上り、全国65自治体の半数以上を占めた。「消滅可能性自治体」も76と全国7ブロック別で最少だった。福岡市、北九州市はいずれにも該当しない「その他」だった。

 自立持続可能性自治体が全国で2番目に多かった福岡県では、9自治体のほとんどが人口増加が続く福岡市近郊だった。福岡市のベッドタウンで人口5万人突破を目前にする粕屋(かすや)町では、未就学児の医療費無料化や子育て支援施設の整備などが若年層の定住を後押しした。担当者は「自立可能と評価されて喜ばしい。教育環境の充実に力を入れて今の状態を維持したい」と話す。

 県の担当者は「福岡は街の規模もちょうど良く、東京などに比べると子育てがしやすい。子供医療費の助成や産後ケアの充実などに取り組んできたことも一因ではないか」と分析した。

 沖縄県では、自立持続可能性自治体が宜野湾市など17自治体となり全国最多だった。2022年の合計特殊出生率は1・70で都道府県別で最も高く、県の担当者は「15歳未満の人口割合が高いことが、20代、30代の女性の多さにつながっているのではないか」と受け止める。ただ県人口は2年連続で減少しており「特に小規模離島の減少率は高く、今後に関しては危機感を持っている」と話した。【城島勇人】

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