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発生から5日目。石川県能登半島を襲った豪雨で、最も被害が大きかった輪島市の孤立集落にも救助の手が届き始めました。ただ、この先も故郷に残るかどうか。住民は重い選択を迫られています。

■最多人数“孤立集落”の選択

今回、最も多くの人が閉じ込められた輪島市七浦地区。住民209人全員が孤立しました。通信手段が遮断され、電気も水道も使えないなかで耐え続けてきました。

七浦地区 伏見孝一区長
「(Q.数日間どのように生活を)若い方は各地区の連絡や物資の輸送、情報交換など。(Q.食材や水は)水はこの辺の山に出ているものがあるので沸かして飲める」

大半の住民が高齢者で、これ以上の孤立は危険です。地区の代表者らで話し合って209人全員での集団避難を決めました。

七浦地区 伏見孝一区長
「(避難は)26日から当面。(Q.いつ決まった)先ほど」

地震と大雨、これで2度目の集落丸ごと避難となります。

杉下ミツ子さん(76)
「今、仮設に慣れ、落ち着いたところ。避難せんで、ここにおれたら一番いい」

東由紀恵さん(70)
「(Q.皆で一緒に避難する)つもりです。もういられない、暗い中には。暗くて水のない中には。地震でちょっと頑張って、やっと抜けて『もうこんな経験したくない』と思っていたら、また起きたので」

集団避難は26日午前9時から始まるということです。

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■物資背負い山間部の集落へ

■物資背負い山間部の集落へ

孤立状態にある集落は、まだ16カ所あります。物資を届ける自衛隊に同行しました。流木をくぐったり、乗り越えたり。歩くこと30分。輪島市の美谷町に到着しました。水やお米、カレーといった物資を避難所に運び込んでいきます。

住民
「泥だらけになってね。ありがとう」

美谷町では35人ほどが取り残されていました。ライフラインも全滅しています。避難所まで来ることができない住民を隊員らが迎えに行きます。

住民
「ありがとう。すみません。お世話になります」

3等陸尉 岡崎友彦小隊長
「『ありがとう』という感謝。『本当に助かっている』と言葉を頂き、自分たちもそういう言葉が励みになる」

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■地震後残るも「もうダメ」

■地震後残るも「もうダメ」

これから集団避難が加速するであろうなか、地元に残ることを決めた人もいます。輪島市議の大宮正さんです。

輪島市議会 大宮正副議長
「とんでもなく変わって、このざまやわ」

輪島市南志見地区。能登半島地震でいち早く、集団避難に踏み切った地区です。それでも大宮さんは南志見から離れませんでした。

輪島市議会 大宮正副議長(1月)
「何かあった時、避難した人に連絡しないといけない。人づてではなんとも分からないので。すごいものですね地震って。地域の景色が変わってしまった」

そのわずか8カ月後。同じ高台から見た景色は…。

輪島市議会 大宮正副議長
「2階の家からタオル振って『助けてくれ』と。行くにも行けないし、手信号であっち行けと送るだけで。(Q.ここから見た光景は)おれが死ぬまで目から離れんやろうね」

普段、穏やかだった川があっという間に氾濫。その濁流は海にまで押し寄せ、10軒以上の住宅が流されました。大宮さんは今、被害状況を確認するため、街の人に声をかけてまわっています。

田谷敬子さん
「このドアにつかまって流れていくのを見ていた。いっぺんに来たのでびっくりして。家も流されていたら私も一緒に流されていた。地震の時はなんとか(自宅を)直せば住める状態だった。よかったなと思っていたところで…」

地震の後、もう少しで住める状態にまでこぎつけていた住民は、今回の被害を受けて…。

輪島市議会 大宮正副議長
「最後にあいさつして出ていった。(Q.なんという言葉を)『諦めた。行きます。もうダメ』と出ていった」

どうすれば街を維持していくことができるのか。ずっと考え続けています。

輪島市議会 大宮正副議長
「“耐える”というのは『もう半年我慢』と区切りが見えれば我慢できるけれど、いつか分からないというのは我慢しきれない。もうダメと諦める人が間違いなく出る。食い止めるために何をすべきか試行錯誤しながらやっている」

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■「妻が見つかってよかった」

■「妻が見つかってよかった」

3人の行方が分からない輪島市久手川町での捜索に動きがあったのは、25日午前9時過ぎのこと。積みあがった流木と土砂の中から井角祐子さん(68)の遺体が見つかりました。現場では家族もずっと捜し続けていました。

祐子さんの夫 井角隆さん(70)
「本当に見つかってよかった。もうそれだけですね。朗らかで元気で、子ども孫思いでしたね」

目の前で自宅ごと流されていったということです。

豪雨で亡くなった人は9人。今も安否や行方が分からない人は6人となりました。

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