去年6月、さいたま市で高級国産車を盗んだ疑いで、川崎モハマッドアリ容疑者(24)が逮捕されました。

今回、独自で、盗んだ車を解体していたとみられる千葉県内にある“ヤード”の家宅捜索を取材しました。

ヤードとは、中古車の解体などを行う作業場です。

千葉県内のヤードに持ち込まれていたのは、川崎容疑者らが盗んだとみられる高級車です。この日の捜索でも盗難とみられる車体がありました。しかし、中の部分がかなり解体されています。

警視庁によりますと、川崎容疑者を含むグループは、これまでに80台ほどの車を盗んだ可能性があるといいます。

一般的にどのような流れで犯行を繰り返していたのか。捜査関係者への取材で明らかになりました。

海外から、輸出業も兼ねるヤード経営者に注文が入ると、仲介役を通し、窃盗団の元締めに話が行きます。そして、元締めが実行役に注文通りの車を盗ませ、その後、闇バイトなどで集められた運び役がヤードに車を持ち込むそうです。川崎容疑者は容疑を否認していますが、警視庁は、ヤードと窃盗団をつなぐ仲介役とみています。

車の盗難事件は、いまも相次いでいます。

18日に栃木県の自宅アパートの駐車場からトヨタのランドクルーザープラドが盗まれた女性。

車両盗難の被害者
「盗まれやすい車という認識はあったんですけれど、まさか自分が盗まれると思っていなかった。怒りしかないです。早く捕まってもらって、少しでも早く窃盗団が減って、なくなってくれるのを心から願います」

SNSで情報を呼びかるとともに、群馬や埼玉県にも行き、探し続けていますが、手がかりは見つかっていません。

去年、発生した車の盗難事件は全国で約5700件。そのうちの半数以上が関東で起きています。

事件の取材を担当している記者は、その要因の一つをヤードにあると指摘します。

警視庁クラブ石出大地記者解説
「千葉県に700以上あるとされるヤードの中には、“不法ヤード”といわれ、盗難車であっても、構わずに買い取る業者も存在している。そうしたヤードに車が持ち込まれると、車体番号を打ち変えたり、解体するなどして海外に輸出され、その後の捜査は、非常に難航する」

ヤードとはどういう場所なのか。

千葉県佐倉市のヤードの1つ。自動車を解体し、世界中に部品を輸出しています。

JMS BRIDGE責任者・サインサナさん
「(Q.かなり破損している部分もあるが)処理することには価値がある。エンジンが一番よく売れるので」

円安や日本車の人気から、部品であっても世界中から引き合いが強いといいます。エンジンなら最低3万5000円で売れるそうです。中古車オークションなどで車を仕入れているというこちらのヤード。車体番号などを確認し、出元の分からない車を購入することは決してありません。

ただ、盗難車の可能性がある車でも購入するヤードが存在していることは認識しています。

JMS BRIDGE責任者・サインサナさん
「やっぱり不公平だと思う。ちゃんと許可をとって、廃棄物処理法に基づいて、私たちは14年くらいやっているが、不正をしている人たちのせいで、我々ちゃんとやっている業者は、世間から悪い評価が続いているので、それが良くないと思う」

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