調剤薬局を全国でチェーン展開する「I&H」(兵庫県芦屋市)と取引先など計約60社が国税当局の税務調査を受け、消費税計約16億円の還付を不正に受けたと指摘されたことが、関係者への取材で明らかになった。国税当局は医薬品の架空取引を繰り返していたと判断し、重加算税を含めて計約23億円を追徴課税した模様だ。
I&Hのグループでは「阪神調剤薬局」などの名称で、約520店を全国展開している(7月末現在)。
調剤薬局は医師の処方箋に従って医薬品を販売しており、患者から消費税を受け取れないことになっている。一方で、業者間で医薬品を売買した際は消費税が生じる。売上時に受け取った消費税に比べ、仕入れ時に支払った分が高い場合は還付を受けられる仕組みになっている。
関係者によると、大阪国税局など全国の国税当局は調査の結果、I&H本体とグループ会社の数社が主体となり、取引先や関連会社との間で医薬品を売買したように装っていたと認定した。医薬品を販売したにもかかわらず、買い戻すといった不自然な取引などが確認されたという。
こうした取引について、国税当局は売り上げを見せかけることで、不正に消費税の還付を受けていたと判断。制度を悪用した仮装や隠蔽(いんぺい)に当たる行為があったとし、重加算税の対象とした模様だ。当局から指摘を受けたのは計約60社に上るという。
I&Hは毎日新聞の取材に対し「資金調達のための取引だったが、国税当局から指摘を受けた。見解の相違はあったが、修正申告と追徴税額の全額を納付した。納税義務の順守をグループ全体として改めて徹底し、再発防止に努めたい」とコメントした。
I&Hは9月、ドラッグストア「スギ薬局」を展開するスギホールディングス(愛知県)の子会社となった。【井手千夏】
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