滋賀県立高校を1年の時に退学した男性が、同級生らからのいじめが原因だったなどとして県と元同級生に計600万円の損害賠償を求めた訴訟で、大津地裁は23日、男性の請求を棄却した。池田聡介裁判長は「学校側が明らかに不合理な対応をしたとは言えない」と述べた。
判決によると、男性は2017年4月に入学。5月ごろ、所属していた部活動の同級生が男性のかばんにパンやごみを入れた。先輩らが男性になりすまして、クラスのLINE(ライン)グループに不適切な投稿をしたこともあった。男性は6月末から欠席しがちになり、11月に退学した。
男性側は、母親が担任教諭に相談したにもかかわらず、学校が事実関係の調査などを怠ったと主張していた。池田裁判長は、母親の相談は「クラスになじめない」といった内容で、具体的ないじめの申告はなかったと指摘。担任はごみを入れた行為について元同級生に指導するなどしており、学校側の対応に違法性は認められないと結論づけた。
問題を巡っては、県教育委員会の第三者委員会が20年3月、いじめが不登校の原因の一つだったとする調査結果をまとめた。原告側代理人の石川賢治弁護士は「学校は第三者委が調査するまでなりすまし投稿を認識していなかった。判決はその点について不問にしており、容認しがたい」と語った。県教委は「反省するべき点は反省し、同様の事案の未然防止に全力で取り組む」とコメントした。【菊池真由】
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