富士山は10日、閉山し、今年の夏山シーズンが終了した。山梨県は今夏、夜通し登る「弾丸登山」や山頂付近の混雑を抑制するため、県側登山道「吉田ルート」で人数制限や通行料徴収などの入山規制を導入。県によると、シーズン中に大きなトラブルは見られず、入山者数が上限に達してゲートを閉じた日もなかった。
5合目ではこの日、登山客らがシーズン最終日の富士山を満喫していた。家族で登り、山頂でご来光を拝んだという甲府市の自営業、小塩幸弘さん(70)は「入山規制は仕方がない。ルールに従うしかない」と理解を示した。長男で相模原市南区の自営業、小塩広和さん(44)は「軽装の人も少なく、以前より登山者のマナーが良かった」と評価しつつ、「9合目から行列ができ、山頂付近は渋滞していた」とも指摘した。
県の規制は、入山者の上限を1日4000人とし、午後4時~午前3時は山小屋の宿泊予約者と下山者以外の通行を制限。通行料2000円の支払いも義務付けた。
初の富士登山に挑んだ神戸市垂水区の大学院生、中田凌さん(23)は「体力と時間のある今のうちに登ってみたかった。学生生活最後の夏休みの思い出にしたい」。入山規制に抵抗はなく「(通行料は)必要経費だと思う。払った人だけが登れるのなら、マナーもしっかり守られるのではないか」と歓迎した。
午後4時、県職員の号令で登山ゲートが閉じられた。
県によると、シーズン中に通行料を支払ったのは14万1400人。6万8513人が予約して事前決済し、予約せずに5合目で当日支払ったのは7万2887人だった(いずれも速報値)。
閉山後、報道陣の取材に応じた県富士山保全・観光エコシステム推進グループの岩間勝宏推進監は「規制のオペレーションは順調だった。1日4000人を超える日がなかったことは成果で、登山者数をコントロールできた」と振り返った。一方で、「ゲートが閉まる直前に通過する弾丸登山に類似した行為が見られ、対策が今後の課題だ」と話した。【田中綾乃】
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