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富士山の登山道が10日午後、閉鎖されました。
今年の死亡事故は去年の2倍です。

ミスター富士山と呼ばれる登山家は、「いつもの山と違っていた」と話します。

■富士山“閉鎖” 今年なぜ事故2倍?

10日午後、入山ゲートが閉められた山梨側の富士吉田ルート。
富士山は、10日で登りおさめとなりました。

ゲートが閉められた富士吉田ルート この記事の写真は24枚 登山者
「シーズンも きょうまでじゃないですか。どうにかして休みがつくれたので、なんとか来られたって感じですね」 登山者 登山者
「みなさん ガガガッと行かれると思うんですけど、私は自分のペースで1歩前 1歩前という感じで」 登山者

今シーズンの登山者数は、およそ18万人。一方で…

今シーズンの登山者数

遭難が多発…
今シーズン、静岡側は6人が死亡。山梨側では3人が亡くなり、合わせて9人。去年の2倍以上です。

遭難が多発

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■今年の富士山 死亡事故なぜ増えた?

■今年の富士山 死亡事故なぜ増えた?

2230回以上登頂した「ミスター富士山」こと實川欣伸さんは、今年、山の異変を感じていました。

2230回以上登頂した「ミスター富士山」 富士山2230回以上登頂 實川欣伸さん(81)
「きょう登れば(今年の登頂は)7回目です」

Q.登れなかった時もあった?
今年は6回くらい登っていない。天候が悪かったですからね、今までなかった」 富士山2230回以上登頂 實川欣伸さん

何度も途中下山を余儀なくされた原因が、「ゲリラ雷雨」です。
この雷雨が、事故が増えた要因ではないかと推察しています。

ゲリラ雷雨

雷の観測を行う気象会社によりますと、富士山がまたがる静岡県の先月の落雷数は、およそ1万2000回で、平年のおよそ1.6倍にも及んでいました。

静岡県の先月の落雷数

なかでもミスター富士山が最も恐怖を感じたのが、8月23日のゲリラ雷雨です。

山小屋から、降りしきる雨を撮影していると…
目の前で落雷。持っていたスマホが飛ばされました。

目の前で落雷 目の前で落雷 富士山2230回以上登頂 實川欣伸さん(81)
「これほどひどいのは、雨もすごかったけど、雷がすごい」
「ものすごい閃光でグワッと光って目がくらみましたね、目がくらみましたね 。雷がね、10回以上落ちた」 富士山2230回以上登頂 實川欣伸さん

こうした悪天候の際は、要請があっても、救助に向かえないこともあるといいます。

救助に向かえないことも

登山道にはゲリラ雷雨の爪痕が残ります。

富士山2230回以上登頂 實川欣伸さん(81)
「登山道が掘れていますよ。ゲリラ雷雨が降れば登山道がズルズルになりますから」 富士山2230回以上登頂 實川欣伸さん

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■なぜ富士山でゲリラ雷雨が多発?

■なぜ富士山でゲリラ雷雨が多発?

理由の1つが「気圧配置」です。
太平洋高気圧のふちに沿って、暖かく湿った空気が流れ込みました。

なぜ富士山でゲリラ雷雨が多発

その結果、積乱雲が発達しやすくなり…

積乱雲が発達しやすくなり… 富士山2230回以上登頂 實川欣伸さん(81)
「前日や朝の予報が良くても結構 変わるもので」

警戒が必要なのは、ゲリラ雷雨だけではありません。

富士山2230回以上登頂 實川欣伸さん(81)
「日本一の山で みなさん観光で来て、安易に登っちゃうからですよ」

今年は山梨側で入山料を設けたことで、静岡側で登山客が集中。

静岡側で登山客が集中

山小屋に泊まらず山頂を目指す「弾丸登山」も多いといいます。

弾丸登山

富士の頂上から望むご来光。

ご来光

ただ、山頂付近は、夏場でも気温は10度ほどしかありません。

夏場でも気温は10度ほど

さらに、山の天気は変わりやすく、低体温症など、命の危険に晒されることも少なくないといいます。

低体温症など命の危険も スタッフ
「大丈夫?」
登山者
「ダメです」 登山者 富士山2230回以上登頂 實川欣伸さん(81)
気温が一気にガーンと下がれば一気にね、低体温になって、時には、そのまま低体温で亡くなっている方いますから」

急な悪天候にどう備えればいいのでしょうか?

急な悪天候 富士山2230回以上登頂 實川欣伸さん(81)
富士山の場合は特に高所ですから、すぐに雨具を着る。特に上りの場合はね
カッパをすぐに着た方が、ずぶぬれにならないうちに、その方が安心・安全に登山ができます。山小屋があればね、山小屋に避難させてもらう」

また、ロープを支える支柱には、雷が落ちる恐れがあるため、近づかないでほしいということです。

ロープを支える支柱

この記事の写真を見る(24枚)
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