知床沖で沈没した観光船「KAZU1」。ANNが独自に入手した50分間の映像から船が沈むまでの状況が見えてきました。

■黒いリュック 映像語る“事故の衝撃”

 おととし4月、20人が死亡、6人が行方不明になった北海道知床沖の観光船沈没事故。少し傾きながらも船の底を下に沈んでいる観光船「KAZU1」。

 事故から10日後、船内の捜索に入った水中カメラの映像では、開いてしまった出入り口からカメラは入り、船内後部の客室を捉えます。その時、黒いリュックサックが見つかりました。のちに乗客の遺留品であることが確認されました。

 「KAZU1」沈没“50分の水中映像”から分かること。

 カメラは船長がいたはずの操舵室に。元甲板員の男性は、こう指摘します。

「KAZU1」の元甲板員
「横の窓が開いている。ここの窓、操舵室の。ここから船長は脱出したのかもしれないね。寒くてここを開けていないと思うから。エンジンが止まった時点で諦めてどこからか出たと思う」

 ライフジャケットでしょうか、カメラは前方の客室に。先頭の窓も真ん中は、ガラスがありません。この窓の向こうには、甲板と船底をつなぐハッチがあります。国の運輸安全委員会の調査では、ハッチのふたが外れて窓を直撃し、ガラスが割れて船内に海水が流れ込んだことが沈没の一因とされています。

 専門家は、映像から衝撃の大きさがうかがえると分析します。

水難学会 安倍淳理事
「沈没する時に、中に海水がドンと一気に流れ込んで渦になって、椅子がその場になく、浮くものはその場になく、重いバックなんかは席の下にそのままあるという、そういう状態だったのかなと思います」

 事故を風化させないためにも、こうした情報公開は重要だと専門家は指摘しています。

※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字

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