お披露目された「吉川英治文学碑」と吉川英治友の会の伊東潤会長(左端)ら=横浜市南区の横浜植木で2024年9月7日午後2時18分、横見知佳撮影

 「宮本武蔵」などの小説で知られる作家、吉川英治(1892―1962年)の文学碑の除幕式が7日、横浜市南区唐沢の園芸会社「横浜植木」であった。吉川はこの周辺で幼少期を過ごしており、地元住民らが募金活動など文学碑建立に向けて奔走し、実現させた。除幕式には住民や関係者ら約40人が集まり、設置を喜んだ。

 文学碑は縦60センチ、横90センチ。吉川の小説にも登場する1890年創業の横浜植木の協力を得て、同社の門壁に設置された。回顧録「忘れ残りの記」で周辺の様子が詳細に記されていることなどが紹介されている。

国民文学作家と親しまれた吉川英治。「鳴門秘帖」「宮本武蔵」「私本太平記」など長、短編は約260編に及ぶ=1929年(昭和4年)9月

 住民らは2023年1月に吉川についての学習会を開いたことをきっかけに「吉川英治友の会」を結成。文学碑の設置を模索してきたという。同会の会長を務める作家、伊東潤さん(64)は「昨今、小説は衰退し、著名な作家の作品でも読まれなくなってきている。文学碑を見て読んでみたいと思う若い人が出てきてほしい」と話した。【横見知佳】

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