2024年度上期の完成を断念し、延期を表明していた青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場について、事業者の日本原燃は延期幅を最大2年半とし、26年度中の完成を目指すと決めた。
「誰も何も責任を取らないで済むような話なのか」。原燃の増田尚宏社長から29日に報告を受けた同県の宮下宗一郎知事は経営責任を問うとともに、核燃料サイクル政策の実現にも懸念を示した。
青森県では再処理を前提に使用済み核燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」がむつ市で9月にも事実上、操業開始する見通し。今回の延期表明により、再処理工場が完成しないまま原発から同県への燃料搬入が進む流れが明確になった。
再処理工場は元々1997年に完成予定で、延期は27回目。宮下知事は「楽観的で独自の見解としか受け止められない」と原燃に苦言を呈した。増田氏は「会社としての責任は感じているが、まずは(工場を)仕上げることが重要だと思っている」と理解を求めた。
宮下知事は、国と県が意見を交わす「核燃料サイクル協議会」を年内に開催し、改めて国に見解を尋ねる意向と明らかにした。ただ、既に事業者と安全協定を交わしている中間貯蔵施設の操業については「影響はないと思う」とも述べた。
原燃は再処理工場で取り出したプルトニウムなどを活用する想定の「ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料加工工場」についても、完成時期を27年度中に延期すると発表した。【江沢雄志】
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