厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 厚生労働省は30日、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」への移行に伴うパブリックコメント(意見公募)を実施した結果、5万3028件の意見が寄せられたと公表した。「保険診療が受けられなくなる懸念がある」や「個人情報が漏えいするのではないか」などマイナ保険証に対して不安視する意見が多くみられたが、厚労省は賛否の内訳を明らかにしていない。

 厚労省は12月2日に現行の健康保険証の新規発行を停止し、マイナ保険証に移行する。省令改正が必要で、その手続きの一環としてパブコメを5月24日~6月23日に実施した。件数が多かったことなどの理由で集計に時間がかかったという。

 厚労省によると、「マイナンバーカードを持たない者が保険診療を受けられなくなる懸念がある」や「カードリーダーでの医療機関の受付に不慣れな方が多く、窓口の負担が増えている」「任意で作成する個人番号カードに、被保険者証の機能を持たせるべきではない」などの意見が寄せられた。他人の情報が誤ってひも付けられるなどのトラブルがあったことから「個人情報が漏えいするのではないか」と懸念する意見もあった。

 寄せられた意見について厚労省は「施行日以降も、最大1年間、現行の被保険者証が使用可能」であることや「マイナ保険証を保有しない方には、申請によらず各保険者において(健康保険証の代わりとなる)資格確認書を発行する」などと説明。「全ての方に安心して確実に保険診療を受けていただけるよう必要な措置を講じる」と回答した。

 厚労省国民健康保険課は「これまでは12月に保険証の発行が停止されることをキーメッセージとして周知してきたが、(発行停止の)施行日も近づいているため、今後は不安の声に対し、マイナ保険証がなくても保険診療が受けられることも丁寧に説明していきたい」としている。【松本光樹】

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