法務省=本橋和夫撮影

 法務省は29日、保護司制度の見直しを議論している有識者検討会に最終報告書案を示した。検討課題だった報酬制の導入は見送った。メンバーから方向性に異論は出ず、9月の次回会合で取りまとめ、10月に法相に提出する予定。

 保護司は法相から委嘱を受けた非常勤の国家公務員。保護司法は「保護司には給与を支給しない」と定めており、無償のボランティアとして活動している。

 検討会は、保護司の高齢化や担い手不足を受け、新たな人材確保策や待遇改善について議論。3月には、公募制の試行▽新任時の年齢制限(原則66歳以下)の撤廃▽2年としている任期の延長を検討――といった見直しの方向性を盛り込んだ中間報告をまとめた。報酬制については結論が出ず、引き続き検討するとしていた。

 最終報告書案によると、保護司が無償とされているのは、自発的な善意の象徴で、堅持していくべき価値があるとし、「報酬制の導入はなじまない」とした。

 ただ、活動に関する保護司個人の「持ち出し」がある現状を踏まえ、最終報告書案は経費支給の充実化を提言した。制度のあり方や方策については、少なくとも5年ごとに検討することも求めている。

 検討会では報酬制に対して、「ボランティアとしての強みが失われかねない」とする懸念が示された一方、「社会情勢に合わせて検討していくべきだ」という意見も出た。【三上健太郎】

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