気象庁は28日、非常に強い台風10号について「経験したことのない暴風、高波、高潮になる恐れがある」として、奄美地方を除く鹿児島県に暴風、波浪、高潮の特別警報を出した。台風は29日にかけて九州南部に接近し、その後九州に上陸して日本列島を縦断する恐れがある。気象庁は数十年に1度しかないような大規模な災害の発生が予想されるとして、最大級の警戒を呼び掛けている。
宮崎、鹿児島両県では今後、記録的な大雨となり、大雨特別警報を出す可能性もあるとしている。
台風の特別警報は、中心気圧930ヘクトパスカル以下か最大風速50メートル以上(沖縄など一部を除く)で接近、上陸する見込みの時に発表される。台風の特別警報は2022年9月に鹿児島県に上陸した台風14号以来。
台風本体から離れた地域でも暖かく湿った空気が流れ込み、激しい雨が降っている地域がある。愛知県蒲郡市では27日夜、土砂崩れで民家に住む男女5人が土砂の下敷きになり、女性3人が救助された。うち1人は意識不明。残る2人の安否は分かっていない。
気象庁によると、台風10号は午後6時現在、鹿児島・屋久島の西南西約40キロをゆっくりとした速さで北に進んでいる。台風の勢力は、中心気圧が935ヘクトパスカルで中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートル。中心から半径110キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっている。
最大風速(最大瞬間風速)は29日に九州南部で50メートル(70メートル)、奄美と九州北部で40メートル(60メートル)と、住宅が倒壊するような猛烈な風が予想される。頑丈な建物の中に移動して、屋内では窓から離れるよう呼び掛けている。杉本悟史予報課長は、九州本土で最大風速50メートル以上の台風は「なかなか来ない」と指摘。今回の台風を「最強に近いクラス」と表現した。
29日午後6時までに予想される24時間雨量は多いところで九州南部600ミリ、九州北部400ミリ、四国、東海で各300ミリ。30日午後6時までに九州南部、九州北部、四国で各400ミリ、東海300ミリ。
また気象庁は28日夜、鹿児島県の種子島と屋久島で線状降水帯が発生したと発表した。29日にかけて九州南部、奄美、九州北部(山口県を含む)、四国(香川県を除く)で発生する可能性があるとしている。
JR各社によると、29日は九州新幹線が熊本―鹿児島中央間で始発から、博多―熊本間は午前10時ごろから運転を見合わせる。西九州新幹線は終日運休する。山陽新幹線は29日夜から30日午前中にかけて広島―博多間で計画運休する。東海道新幹線は30日から9月1日にかけて計画運休を実施する可能性がある。
空の便は九州地方を発着する国内線を中心に乱れ、28日は全日空、日本航空の計160便が欠航した。29、30日も両社の計471便が欠航し、約3万2000人に影響する見通し。【木原真希、堀智行、永海俊】
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