兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は23日、全職員を対象にしたアンケートの中間報告を公表した。知事のパワハラを目撃したり、人から聞いたりした職員の割合が38・3%だったほか、知事が多数の贈答品を受け取っていたとされる疑惑についても新たな証言が寄せられた。
アンケートでは、贈答品を「お土産」、視察を「遠足」と表現し、「知事はお土産がない遠足には行かない」と指摘する声もあった。日本酒、カニ、カキ、タマネギなど、視察のたびに地元産品を受け取っていたという証言が多数含まれている。「知事の土産用に特産品を必ず準備することが機嫌を取るために重要だと聞いた」との回答もあり、贈答品の用意が県庁内で慣例となっていたという。
一方、疑惑の一つとされるプロ野球・阪神、オリックスのリーグ優勝記念パレード(2023年11月)に向けた資金集めに関する証言も寄せられた。告発文の「(県内の)信用金庫への補助金を増額し、募金としてキックバックさせることで補った」との指摘に対し、「査定途中だった補助金予算について、(7月末に副知事を辞職した)片山(安孝)副知事の鶴の一声で3億円増額された」「副知事の指示で増額したと聞いた。ただ、それがキックバックにつながっていたのかは知らない」などの記述があった。
斎藤知事は23日、県庁で取材に応じ、パワハラを見聞きしたとの回答が約4割に上った点について「県政をより良くするために必要な指示や指導をしてきたが、これだけ多くの職員が回答している事実に接し、大変残念な思いだ」と述べた。
アンケートは百条委が職員約9700人を対象に実施し、約6700人が回答。中間報告は4568人分で、記名で証言した人もいた。百条委は今後の証人尋問などで記載内容について確認する。【山本康介、木山友里亜、山田麻未】
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