踏切の警報機=佐々木宏之撮影

 21日午前6時50分ごろ、大阪市住吉区沢之町1の南海高野線の「沢ノ町4号踏切」(遮断機、警報機付き)で、近所の男性(64)が難波発和泉中央行きの準急(8両編成)と接触し、頭を負傷した。男性は目が不自由で白杖(はくじょう)を持って横断中、遮断機が下りた踏切の中に取り残されたとみられる。

 現場の踏切(長さ約14メートル)は片側2車線の大阪府道上に設置され、視覚障害者らを誘導する点字ブロックは設置されていなかった。大阪府警住吉署は当時の詳しい状況を調べている。

 府警によると、男性は電車と接触後に病院に運ばれたが、命に別条はない。周辺の防犯カメラには、男性が1人で歩いて踏切に入った後、遮断機が下がる状況が映っていた。電車の運転士が警笛を鳴らして非常ブレーキをかけたが、間に合わずに接触したという。

 視覚障害者の踏切事故を巡っては、奈良県大和郡山市で2022年4月、全盲の女性が近鉄の特急にはねられ死亡。国土交通省はこの事故を受けてガイドラインを改定し、自治体や鉄道会社に、点字ブロックなどの整備を促している。

 しかし国交省などによると、全国にある3万カ所以上の踏切のうち、点字ブロックが設置されているのは今年3月現在で大阪や奈良など8府県の29カ所にとどまっている。鉄道会社と道路を管理する自治体との間で費用負担などの協議が難航することが背景にある。

 南海電鉄の広報担当者は現場の踏切について「府道の管理者から設置の協議を持ちかけられるのを待ちたい」と説明。道路を管理する大阪市の担当者は「事故を知ったばかりで、今後の対応は決まっていない」と話した。【洪玟香、斉藤朋恵】

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