台風5号は、当初の予想より西寄りに進む見通しで、本州を直撃する可能性が高まっています。気象庁は10日、緊急会見を開き、厳重な警戒を呼びかけました。(8月10日OA サタデーステーション)

■気象庁「高い危機感を持っている」

不安定な大気によって連日のように、全国どこかで、ゲリラ雷雨となっています。そんな中、近づいてきているのが台風5号。

8日に小笠原諸島の父島近海で発生した台風5号は、現在、関東の東の海上を北上しています。10日、気象庁と国土交通省が合同で緊急会見を開き、注意を呼びかけました。

気象庁 立原秀一主任予報官
「この台風5号の接近・通過において、気象庁としては大雨・暴風に対して高い危機感を持っている」

当初、台風5号は太平洋上を北上していくとみられていました。しかし、直近の予想では、西へ進路を変え、三連休最終日の月曜日に東北へ接近・上陸し、その後、本州を横断して、日本海へ抜ける予想となっています。このような進路をたどった台風は、過去に2回しかありません。

■“異例のルート” 過去には甚大被害も

8年前、統計史上初めて太平洋側から、東北地方へと上陸した台風10号。岩手県岩泉町では、町内を横断する小本川が氾濫。高齢者施設に濁流が流れ込み、入所者9人が亡くなるなど、岩手県内では20人以上の死者が出ました。この時、およそ300ミリの大雨になっていましたが、今回の台風は、それ以上の雨が降る恐れがあるといいます。

気象庁 立原秀一主任予報官
「多いところでは400mm前後の雨になる可能性がある。いずれにしても災害の危険度が高まる」

しかし8年前の台風とは、決定的に違うことがあるといいます。

■“自転車並み”ノロノロ台風 影響長引く恐れ

気象庁 立原秀一主任予報官
「台風の動きが時速15キロ程度とそれほど速くない。このため暴風や大雨の影響が長引く恐れがある」

2016年の台風10号は、岩手県に上陸した時点で時速およそ50キロだったのに対し、今回は時速15キロと、自転車並みのスピード。いわゆる「ノロノロ台風」のため、影響が長引く恐れがあるといいます。

■猛暑の影響で被害拡大も

地球温暖化の影響で、台風の移動速度が遅くなるという研究結果もあります。連日、灼熱に包まれている日本列島。10日も全国で175地点が猛暑日となっています。この異常な暑さが、天気の急変を招くだけでなく、台風にも大きく影響を与えているといいます。

気象庁 立原秀一主任予報官
「東北地方の太平洋沿岸の海水温について平年よりも2℃から4℃くらい高い。勢力を維持したまま北上、あるいは北日本に近づくという可能性は十分にあるというふうに認識しています。お盆の期間に関わってくる、そういう時期になります。移動の多い時期ではあるが、状況に応じて柔軟な判断、対応をお願いしたい」

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