米軍専用施設面積の都道府県別割合(左)2023年に米軍関係者が刑法犯で検挙された件数(右)

 2023年に米軍関係者が刑法犯で検挙された事件が全国で118件あり、うち61%にあたる72件が沖縄県で発生していたことが警察庁への取材で判明した。22年も全体の51%が沖縄県で、米軍基地の集中を背景に米軍関係者の犯罪が突出して多く発生している。沖縄では米軍人による性的暴行事件が相次いで起きていたことも明らかになっており、重い基地負担の実態が改めて浮き彫りになった。

 沖縄県内には31の米軍専用施設があり、面積比で全国の米軍専用施設の70・3%を占めている。

 警察庁によると、23年の118件を都道府県別にみると、沖縄72件(61%)▽神奈川19件(16%)▽東京10件(8%)▽山口8件(7%)▽青森4件(3%)▽長崎3件(3%)――など。22年は計106件で、沖縄54件(51%)▽神奈川17件(16%)▽東京14件(13%)▽山口13件(12%)――などとなった。両年とも、沖縄での発生が他の都道府県に比べて際立つ。

沖縄県で起きた米軍による主な事件・事故

 沖縄県警のまとめでは、県内では米国統治下から日本に復帰した1972年から2022年までの間に、米軍関係者が刑法犯で検挙された事件が6163件に上る。うち窃盗犯が3034件とほぼ半数を占めるが、強盗398件、不同意性交等134件、殺人27件などと凶悪事件も多い。

 沖縄では米軍関係者が飲酒運転で摘発される事案も、日常的に起きている。

 警察庁によると、23年に全国の警察が米軍関係者を道路交通法違反で検挙した事件は67件。都道府県別では、沖縄が47件で7割を占め、うち43件は酒気帯び運転だった。23年には沖縄県内で米軍関係者による人身交通事故も7件発生し、うち4件が酒気帯び運転だった。

 沖縄での米軍関係者による事件の多発は、米軍機の騒音被害や事故などとともに基地の集中に伴う負担となっている。政府は「過重な基地負担の軽減に取り組む」としているが、基地の整理・縮小は進まず、日本復帰から52年がたっても市民生活に大きな影響を及ぼしている。【遠藤孝康】

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