相次いで発覚した在沖縄米兵による性的暴行事件を巡り、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する政党や団体でつくる「オール沖縄会議」などは10日、宜野湾市の屋内運動施設で事件に抗議する大規模集会を開いた。主催者発表で約2500人が参加。事件の発生を県に知らせなかった日本政府の対応について、「日米の基地政策がもたらす不都合な真実の隠蔽(いんぺい)は、沖縄の犠牲を固定化させることになり、許されない」と非難するアピール文を採択した。
日米両政府が合意した通報手続きでは、在日米軍が絡む事件・事故が起きた場合、米軍は外務省や防衛省を通じて都道府県や市町村に連絡することになっている。しかし、沖縄県で6月以降に発覚した2件の性暴力事件では、いずれも順守されていなかった。捜査当局の情報提供を受けた外務省は、米側に綱紀粛正などを申し入れて首相官邸にも報告した一方、被害者支援に当たる立場の沖縄県などには伝えていなかった。
集会はこうした政府の対応を「隠蔽」と糾弾した。登壇した儀保(ぎぼ)唯県議は「ニュースになっていない事件が数多くある」と強調。米軍基地に隣接する街で暮らし、子どもの頃に米兵から性暴力を受けたという同年代の女性から「『米軍基地は(軍事・経済的な)恩恵』という大人たちに被害を言ってはいけないと教わり、親にも言えなかった」と打ち明けられた経験を紹介した。「米軍基地がある限り、沖縄に住む少女たちに被害を与え続けることになる」と訴え、通報手続きを形骸化させている日米両政府を批判した。
玉城デニー知事は「決して諦めず、屈することなく進んでいこう」とあいさつ。集会後に記者団の取材に応じ、米軍の性犯罪防止策について「効果を発揮するのか注視したい」と述べた。集会に参加した那覇市の女性会社員(52)は「本土の多くの人は沖縄の基地問題に関心がなく、政府もこの問題に蓋(ふた)をできると思っている。声を上げ続けなければ現状を受け入れたことになるので、抗議の意思を示し続けたい」と話した。
在沖縄米軍関係者による性暴力事件を巡っては、県内の女性団体などが抗議し、再発防止を求める超党派の県民大会の開催を目指す動きもある。
この日の集会では、2023年11月に鹿児島県・屋久島沖で起きた米空軍輸送機CV22オスプレイの墜落死亡事故に対しても抗議の声が上がった。米軍が事故の根本的原因を解明しないまま、県内各地の住宅街上空で飛行を続けていると批判し、即時の飛行停止と普天間飛行場の閉鎖・返還を求めた。【比嘉洋】
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