長時間労働で適応障害を発症したとして、東大阪市立中学の男性教諭(43)が大阪府と市に慰謝料など計330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、大阪地裁であった。小川嘉基裁判長は男性の負担軽減を講じなかった校長の注意義務違反を認め、府と市に計220万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は理科の授業や3年生の学年主任、進路指導主事、野球部の顧問などを担当。2021年9月下旬ごろ、不眠症状などが出て仕事に集中できなくなり、同11月に適応障害と診断された。その後、約1年1カ月休職した。
判決はまず、男性の時間外労働は発症直前の1カ月間で136時間、その前月で156時間に上り、精神疾患の公務災害の認定基準を大きく上回っていたと認定。さらに、学習指導要領の改定に伴う対応、修学旅行や保護者会の準備などで負荷が増加したと指摘した。
男性は「授業のコマ数を減らすか進路指導主事から外してほしい」と校長に訴えたが、校長は「代わりはいないので踏ん張ってほしい」と答えるだけだったという。小川裁判長は、校長が男性の負担増加を認識することができたにもかかわらず、勤務時間を減らすなどの具体的な措置を取らなかったと結論付けた。
男性は判決後に大阪市内で記者会見し、「教員は異常な働き方が当たり前になり、感覚がまひしている。この判決が働き方改革が進むきっかけになってほしい」と期待した。
東大阪市教育委員会は「教職員の長時間勤務は大きな課題と認識している。業務整理や効率化を進めていく」とコメントした。【木島諒子】
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