気象庁が8日、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表したことを受け、南海トラフ地震による被害が予想される地域を抱える企業の中には対応を急ぐ動きもあった。
中部電力は南海トラフ巨大地震などを想定し、再稼働を目指す浜岡原発(静岡県)に高さ22メートルの防潮堤を設置している。広報は「浜岡原発はプラントの監視強化のために人員を集めて待機体制をとっている。名古屋市の本店にも連絡所を設置した」とする。
関西電力は巨大地震注意の発表を受け、社内規定に基づいて非常災害対策総本部を立ち上げた。「社内の連携体制を構築することが目的」(広報)としている。九州電力は管内で震度6弱の地震が発生したことに伴って本店に設置した対策総本部で「南海トラフ臨時情報への対応も検討中」(広報)だ。
鉄道インフラにも影響が生じている。JR東海は巨大地震注意の発表を受け、「一部の特急列車を運休とし、それ以外は通常運転する」と発表。8日の運休は紀勢線の特急「南紀」(名古屋―新宮)と東京から高松、島根県出雲市までを結ぶ寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」の計2本。9日以降は「南紀」「サンライズ瀬戸・出雲」のほか飯田線の特急「伊那路」を1週間程度運休すると発表した。
JR九州は「現時点で特別な対応はない。警戒、注意が発表された際には、想定される地震の規模や影響を受ける区間などを勘案して必要に応じて運休などの対応を行う」とした。
ローソンは津波被害が想定される沿岸部の店舗について「ローソンの本部社員を通じて避難場所の確認をする」という。
企業の多くは「臨時情報の発表によって生じる対応はない」(セブン&アイ・ホールディングス)と冷静に受け止めており、気象庁が「巨大地震警戒」「巨大地震注意」と発表した場合でも、災害時の対応を定めた事業継続計画(BCP)に基づいて企業活動を継続すると見られる。「南海トラフを含む大規模災害を想定したBCPにのっとって対応する」(ソフトバンク)、「状況を見ながら対策本部を立ち上げるなどする。BCPに沿って動くことになると考える」(JR西日本)などとしている。【高田奈実、小坂剛志、大原翔、下原知広、久野洋、加藤結花】
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