平日午後にオンラインゲームの練習をするeスポーツ実業団のメンバー=九州バーク運輸提供

 運送業と木材加工業を営む九州バーク運輸(福岡県朝倉市)が、eスポーツ実業団「jump on games(ジャンプ・オン・ゲームズ)」を発足させた。4月に新設したesports事業部の正社員5人が就業時間の半分を実務、残り半分をオンラインゲームの練習に充てる。世界的に人気を集める米国発のシューティングゲーム「VALORANT(ヴァロラント)」で、日本国内最大規模の大会への出場を目標に掲げる。【岡村崇】

 eスポーツ実業団のメンバーは、平日午前は事務やエンジニアなどとして仕事をこなし、午後から全員で練習に励む。ヴァロラントは、5人1組のチームが敵と味方に分かれて撃ち合い、13ラウンド先取で勝負する。勝利を重ねることでランキングが上がる仕組み。国内最大規模の大会にはランキング上位のチームのみが参加できるという。

 九州バーク運輸は、若者の移住、定住先として選ばれるような企業を目指そうと、eスポーツに注目した。林晃一社長(42)は2021年ごろから県内のeスポーツ関係の専門学校を回り、プロになれなくても企業で働きながらゲームのレベルアップを希望する学生が少なくないことを実感したという。昨年春、専門学校を卒業した北村遥紀さん(24)を正社員として採用し、eスポーツ実業団を発足するための準備を進めてきた。

 実務の時間を半分にすることで他の社員たちに影響がないかなど試行錯誤を重ね、実務と練習を半分ずつにする勤務形態を決めた。北村さんは「一般職で勤務後の夜間のみだと練習時間が足りない。この環境でチームが強くなっていけば」と話す。

 24年4月は選手枠として5人を採用。現在、北村さんを含む6人が同事業部に所属する。うち5人が選手として活動し、1人はSNS(ネット交流サービス)などでeスポーツ実業団のPRを担当する。

 林社長は「eスポーツを続けたいという若者の受け皿となればと思う。今後も採用を続け、実業団として強いチームにしていく」と力を込める。

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