平和記念公園と原爆ドーム(奥)=本社ヘリから猪飼健史撮影

 米国による広島への原爆投下から6日で79年になった。ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエルの攻撃は長期化する。世界が今なお核の脅威にさらされる中、人類史上初の惨禍に見舞われた被爆地・ヒロシマの注目度が高まっている。

 広島市中区の平和記念公園では6日朝、原爆投下時刻に合わせて平和記念式典が開かれる。被爆者や遺族、岸田文雄首相、109カ国の駐日大使らが参列し、黙とうをささげる。松井一実・広島市長は核兵器の廃絶に向けた平和宣言を読み上げる。

 市は式典にイスラエルを招く一方、パレスチナは日本が国家承認していないとして招待しなかった。ロシアとベラルーシもウクライナ侵攻を理由に3年連続で招待を見送った。

 広島では2023年5月、主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれ、核軍縮を巡る「広島ビジョン」が打ち出された。しかし、米国は24年5月、バイデン政権下で3回目の臨界前核実験を実施。ウクライナ侵攻やガザ地区への攻撃では、ロシアやイスラエルを中心に核使用を示唆する発言が相次いでいる。

 核使用の懸念が高まる中、平和記念公園にある原爆資料館の23年度の入館者数は、198万1782人で過去最多を更新した。資料館はG7サミットで各国首脳らも視察した。外国人の入館者数は全体の3割を超え、79年前の惨禍や被爆者の思いを学ぼうとする人が増えているという。

 一方で、原爆の残酷さや平和の尊さを実体験とともに訴えてきた被爆者なき時代も迫りつつある。今年3月末で被爆者の平均年齢は85・58歳になった。被爆者健康手帳を持つ人は10万6825人で、前年から6824人減った。【根本佳奈】

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