日本銀行が31日、政策金利を0・25%程度に引き上げることを決めた。今後、変動型住宅ローンの金利上昇が予想される。子育て世代からは不安の声が上がり、より利率が低い銀行への借り換えを検討する動きもある。普通預金の金利上昇や、輸入品の価格低下などのメリットも見込めるが、働き世代は「肝心の賃金の上昇が伴っていない」と将来への懸念を漏らす。
5月に那覇市内でマンションの購入契約をした男性(29)は、当初は変動型ローンを想定していたが、金利上昇の可能性を踏まえ固定型か迷っている。頭金を増やすなど金利の影響を極力避ける方法を模索しているといい「もう少し早めに購入を決めればよかった。痛手だ」と話した。
0歳の息子がいる20代男性=那覇市=は5年後に自宅を建てようと計画的に貯金していた。「地価や建築資材も高騰、そこに金利も上がれば、20代でマイホームを持つのは夢のまた夢」とため息。南城市の50代女性は金利上昇を見越し那覇市内のマンションを今年売却した。「住宅ローン未済の知人も多い。金利が上がり支払えない人も出るのでは」と危惧した。
金利の引き上げによる円安歯止めや物価抑制への期待もある。ただ、4人の娘を育てる40代男性=八重瀬町=は「物価も軒並み上がっているが賃上げは限定的。利上げでさらに生活が窮屈になっていく」と漏らした。(社会部・大野亨恭、垣花きらら、玉城日向子)
■変動型ローンに影響 FP福田昌也さん
1級ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士の福田昌也さん(52)は「一番影響が考えられるのは、変動型住宅ローンの金利上昇だ」と話す。
一般的に、住宅ローンの金利が上昇しても、ほとんどの金融機関は5年間返済額が変動しない「5年ルール」が適用されているため、急激に毎月の返済額が上昇することは考えにくいという。しかし、5年後の影響は避けられないことから「償還予定表で元本と利息の比率を確認し、元本と利息の比率を注視しなければならない」と指摘する。
その上で「メリットとデメリットをしっかり確認し、固定金利への変更や繰り上げ返済の検討をしてもらいたい」と話した。
一方で、物価などに関しては「すぐには大きな影響はないだろう」と推測し、「長い目で見ると経済が正常化に向かっている第一歩だ」と声を弾ませた。
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