保護司の安全確保の対策を議論した法務省の有識者検討会=東京都千代田区の法務省で2024年7月29日午前10時3分、三上健太郎撮影

 法務省は29日、保護司制度の見直しを議論している法務省の有識者検討会に対し、「保護司の安全確保」の対策として情報通信技術(ICT)や防犯カメラの活用を提案した。今秋に取りまとめる予定の最終報告書に盛り込むため、さらに審議を続ける。

 検討会は担い手不足が懸念される保護司制度のこれからのあり方を検討している。ただ、議論の途上で大津市での保護司殺害事件が発生し、保護司の安全確保を重要テーマとして取り上げることになった。

 29日に法務省が示した主な安全確保対策は、保護司と保護観察対象者の面接に、国家公務員の保護観察官らがオンラインで同席する▽防犯カメラが設置された場所での面接を実施する▽ICTを活用した緊急連絡のあり方を検討する▽保護観察官の直接関与の強化に取り組む――など。

 保護司が安心・安全に活動を継続していく環境整備は、持続可能な保護司制度の前提となるとして、保護司法を見直し、面接場所の確保を国や地方自治体の責務として定めることを検討することも盛り込んだ。

 また、保護司の確保が難しくなるという意見を踏まえ、保護司活動の意義について啓発にも取り組むとしている。

 法務省の提案に対し、出席した委員からは「保護観察官の態勢強化が不可欠」「保護司の活動には家族への説明を充実させる必要がある」との意見が出されたという。【三上健太郎】

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