24日からの大雨に伴う水害に襲われた秋田、山形両県の被災地では、一部で深刻な断水に直面している。2次災害の恐れから容易に近づけない場所もあり、住民らは今後の大雨予報に警戒を強めている。
断水、停電、電話不通…被災地は今
山形県酒田市北部、八幡地域にある大沢地区に入ると、日常を取り戻しつつある中心部とは打って変わって、思わず息をのむような光景が広がっていた。地区を流れる荒瀬川の氾濫で、国道344号は無残にえぐられて橋は落下。家々の窓ガラスなどは破れて流木や土砂が流れ込み、水田は泥などで茶色に埋め尽くされていた。
市によると地区の252戸で断水し、市の給水車で供給対応が続いている。配水管が損傷し、車両の行き来がままならないことから、仮復旧のめどすらたたない。一部では停電も発生している。
長沢悟さん(76)は「床下浸水で済んだのが幸い。何とか泥をきれいにしたい」と話し、汗を流しながら住宅の周囲に十数センチほど積もった泥をスコップでかきだしていた。
高台で浸水被害は逃れたという寺院の女性は「電話もつながらないから、檀家(だんか)の人たちと連絡がつかない。テレビをつけても情報が得られず、お盆どころじゃない」と悲嘆に暮れている。
家族5人で避難先から戻り、片付けを始めたという男性(25)は、泥だらけになった畳を自宅から運び出しながら「今は目の前のことを一つ一つ片付けていくしかない」と歯を食いしばっていた。
地区のさらに上流部へ向かおうとすると、住民の一人から「雨の予報が出ているし、何が起こるかわからない」と警告され、引き返した。気象台によると30日にかけて再び大雨となるといい、引き続き災害への警戒を呼びかけている。【長南里香】
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