名張毒ぶどう酒事件で死刑が確定し、平成27年に89歳で獄中死した奥西勝元死刑囚の死刑執行に関する上申書を法務省が存否を明らかにせず不開示としたのは違法だとして、弁護士が国に開示を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は18日、請求を棄却した。
刑事訴訟法は判決確定から6カ月以内に死刑執行命令を出さなければならないと規定しており、弁護士側は上申書が存在するのは明らかだと主張していた。
剣持亮裁判長は判決理由で、命令の発出に法的拘束力がなく、必ず提出されたとは言えないと指摘。上申の有無が明らかになれば、存命の死刑囚が執行順序を予測し、自殺や逃走を試みる恐れがあるとして、不開示は適法と結論付けた。
判決によると、弁護士は令和3年5月、検察が提出する「死刑執行上申書」について開示を請求。法務省は同6月、「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがある」として存否を明らかにしなかった。
事件は昭和36年に発生。三重県名張市で女性5人が死亡した。第10次再審請求審は今年1月、最高裁が元死刑囚の妹による特別抗告を棄却する決定をし、再審を認めない判断が確定した。
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