松山城が立つ山の斜面で土砂崩れが発生し、巻き込まれた3人の捜索が今も続いています。現場近くでは去年の大雨被害の復旧工事が行われていました。

■住宅巻き込まれ3人不明 捜索続く

 救助活動は今も続いています。愛媛県松山市で今月12日朝早くに起きた土砂崩れ。住人3人と連絡が取れていません。県によりますと、行方不明となっているのは90代の男性、80代の女性、40代の男性の3人です。

 現場は松山城の麓。高層マンションも建つ市街地です。

 午前4時前、「付近で土砂崩れが起きている」と近隣住民から通報がありました。

撮影者 菅野貴仁さん
「午前4時ごろ、けたたましいサイレンが聞こえてなんだろうと思った。家族からは『ボワッ』という音がしたと聞いた」

 現場周辺に建つ15階建てのマンション。住人が当時の状況を語りました。

マンションの住民
「風が走った。『ゴーン』と。パッと目が覚めたら竜巻かなと思ったら『ゴーン』『ダダーン』と地響きがした」

 土砂崩れ前の画像で見ると、一軒家があった場所に土砂や木が流れ込み、家が倒壊した様子が分かります。

■マンション7階も被害「木がベランダに」

 被害は住宅だけではないことが分かってきました。

マンションの住民
「山との間に立体駐車場があり、全部、車がひっくり返っていた」

 現場周辺に建つ15階建てのマンション。立体駐車場にまで土砂が流れ込んでいるのが分かります。

 駐車場だけではありません。

マンションの住民
「7階に木やらなんやらベランダに飛び込んでいる」

 マンションの土砂崩れ前の画像と比べると、7階部分まで土砂が押し寄せているのが分かります。

 前線の影響で、松山市では48時間で平年7月の約1カ月分にあたる200ミリ以上の雨が観測されています。

■「ヒビが見るたびに広がっていた」

 松山市を望む市の中心部にそびえる桜の名所「松山城」。現存する12天守のうちの一つで、加藤嘉明によって築城されました。築400年を超え、攻められにくい地形に建てられました。

愛媛大学防災情報研究センター 木下尚樹副センター長
「松山城の北側の斜面は傾斜角が高い急峻(きゅうしゅん)な地形にはなっている。その辺りが色んな観点から(戦など)有利だったと想像できる」

 松山城周辺では豪雨などで度々、斜面が崩れる被害が起きていました。松山城の天守の東側では、去年7月の大雨で被害を受けて今月から復旧工事が行われていました

マンションの住人
「7月1日に重機が入って仕事するんだなと言ったら、工事するから11月までは通れないと」

 上空から見ると、土砂崩れのあった周辺には雨水がしみ込まないようにブルーシートが掛けられているのが分かります。

マンションの住人
「いずれは(土砂崩れが)あると思った。これまでもしょっちゅう崩れていた。泥水が出て木が倒れたりしていた。ずっとひびが入っていた。見るたびに広がっていた」

 松山市は工事との因果関係は低いとしています。

松山市
「今回、崩れているのは、あくまでブルーシートの下。工事も法面には触っていない。どこから崩落が始まったのか、その辺りをしっかり調査していく必要があるが、現段階では因果関係は低いとみている」

愛媛大学防災情報研究センター 木下尚樹副センター長
「土砂崩れが起こった場所は緩やかな谷地形になっていて、集水されてその結果、斜面が不安定化して崩れたと考えられる。斜面災害に関しては今回のような谷地形になっていることが注目のポイント。全国的に言えることだが、そこを抽出して今まで注目されていなかった箇所についても洗い出して、どうするか検討するのが大事」

■広島でも道路崩落 車1台転落

 12日午後になり、雨雲は徐々に東へ向かいます。災害の危険は各地で高まっています。

 1時間雨量で今年最大となった和歌山市。道路は川のように冠水しています。動けなくなったのでしょうか、車を押しています。

 広島県尾道市内の山間を走る県道。片側1車線が崩れて車1台が転落、1人がけがをしました。

 午後になり、雨は関東でも。雨が強まった横浜市。正午の時点で気温は8日ぶりに25℃を下回っています。

 13日夕方にかけて九州の南部中心に100ミリ以上の雨が予想されています。

▶テレ朝天気

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