富士山の静岡側が10日、山開きしました。
午前9時ごろ、6合目では登山道の柵が撤去されました。10カ月ぶりの山開きです。

迎えた初日、現場を取材すると、悪天候にもかかわらず、登山を強行しようとする人の姿がありました。

半袖にジーパン姿の外国人男性。「危険だ」と係員が説得しますが、走って登って行きました。

5合目では、男性が登山計画を登録しないで訪れたようで、プレハブに案内されました。アニメで弾丸登山の危険性を訴えます。6言語に対応しているそうです。ただ、こうした取り組みは、強制力を伴わない要請でしかありません。

先週、一足早く山開きを迎えた山梨側。登山者の上限を1日4000人として、通行料2000円を徴収する入山規制が導入されました。午後4時から午前3時までの間、登山道が閉鎖されます。

深夜から早朝に登山したとみられる人は、去年、同時期は1600人以上いたのに、今年は500人あまりに減ったそうです。

山梨側は、吉田ルート1つで、富士山全体の登山者数の6割を占めます。一方、10日に山開きした静岡側のルートは3つ。山梨側のような入山規制を見送っての山開きです。

その6合目では、午後2時過ぎ、急激に天気が悪くなってきました。

悪天候で引き返してきたのでしょうか。山登りにしては、ずいぶん軽装な格好をしている女性など、どんどん人が下りてきます。

登山者
「上、えぐかった。横殴りの雨と風。ここはかわいいもんだと思う」

頂上は風の音で、耳が痛いくらい。下山中は視界が悪く、雨に見舞われたそうです。

警察に電話する男性。

登山仲間が音信普通の男性
「実は3人で富士山に登ったが、1人、下りてこない。まだ下りてこない」

男性らは、8合目でリタイアしましたが、その女性は1人で頂上を目指したそうです。下山してきた人にも声をかけて、探していると、女性は帰ってきたといいます。

登山仲間が音信普通の男性
「帰ってきた。よかった」

ただ、山頂付近では、男性が倒れているのが見つかり、意識不明だといいます。

初日から、いろいろありました。山梨側の入山規制を避けて、静岡側にどっと登山者が流れてきたのではないかとの声もあります。

東富士山荘・米山千春代表
「遠くから、お越しいただいている方々は、そこで帰らない。そういう方が静岡側に回ってくるということは、もう現実。富士山は1つです。そこに違ったやり方があること自体が失礼」

なぜ静岡県は、山梨と足並みを揃える形で入山を規制しないのでしょうか。

静岡県富士山世界遺産課・岡部晋治課長代理
「静岡県側は御殿場ルートとか、いたるところから入山ができる。複数箇所ゲートを設置しなければならない。当然、係員を置かなければならないので、コストもかかることも想定される」

また、山梨側の登山道は、県有地なので条例で規制できますが、静岡側は、ほとんど国有地だという事情もあります。今後、静岡県は、国や関係者と協議して、来年の対応を検討するそうです。

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