山開き初日に富士宮ルートを登る登山者ら=富士宮市で2024年7月10日午前9時39分、丹野恒一撮影

 富士山の静岡県側にある富士宮、須走、御殿場の三つの登山ルートが10日、山開きを迎えた。静岡側では今年、山小屋に泊まらず夜通し歩く「弾丸登山」の防止などを目的に任意の事前登録制を導入した。1日に山開きした山梨県側の吉田ルートでは5合目の登山口に規制ゲートが設けられ、安全登山に向けた取り組みの効果が注目される。富士山の夏山シーズンは静岡、山梨両県とも9月10日まで。

 富士宮ルート5合目の登山口には事前登録を確認する仮設カウンターが設置され、スタッフらが午前4時から登山者に対応した。事前登録はスマホやパソコンから登山開始の予定日時や宿泊する小屋の名前などを入力し、発行されたQRコードをカウンターで提示して入山する仕組み。チェックを受けた登山者には証明としてリストバンドが配られる。

 神奈川県などから友人4人組で来たウェブデザイナーの本宮美香さん(52)は、「9合目の山小屋に泊まり、山頂からご来光を拝むため午前2時半に出発する」という計画。用心のため警察と登山アプリに二重に登山届を提出していたが、事前登録のことは知らなかった。「安全のためには良い取り組みなので、すべての登山者が気付けるようPRしてほしい」と話していた。

富士宮ルートの登山口で事前登録の確認をし、リストバンドを受け取る登山者ら=富士宮市で2024年7月10日午前9時41分、丹野恒一撮影

 静岡側の山小屋は例年以上に早くから予約が入っているといい、8月までは平日もほぼ満員となっている。県富士山世界遺産課によると、約2万7000人が既に事前登録し、10日だけでも山小屋の収容人数とほぼ同数の1000人に達した。岡部晋治・同課長代理は「初年度だが手応えはある。事前登録によって、時間ごとの登山者の分散傾向なども把握できるので、山梨側の状況も見ながらより良い規制方法を考えていきたい」と話した。【丹野恒一】

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