完全な形の「太鼓形埴輪(はにわ)」が全国で初めて出土した奈良県田原本町宮古の古墳を紹介する企画展「宮古平塚古墳にみる王権」が20日、同町阪手の田原本青垣生涯学習センターで始まる。町教委は被葬者を「ヤマト王権の軍鼓の演奏者」と推測しており、考古学ファンの関心を集めそうだ。5月26日まで。
宮古平塚古墳は6世紀前半の一辺約20メートルの方墳。工場建設に伴う緊急発掘調査で2022年4月、周濠(しゅうごう)跡から多数の埴輪が出土した。太鼓形埴輪は両側に打面を持つ樽(たる)形で長さ28センチ。打面の革を留める鋲(びょう)も粘土で表現されている。
軍隊の号令や儀礼で使われた太鼓は古墳時代に大陸から伝わった。それを模した埴輪片は全国の6世紀前半の古墳から見つかっており、被葬者が継体天皇とみられている今城塚古墳(大阪府高槻市)の遺物が有名だ。町教委の柴田将幹・保存活用係長は「他の発見例は王墓や首長墓ばかり。規模が小さい宮古平塚古墳の被葬者は、王権で太鼓に関わる職掌を担った人物と考えられる」としている。
企画展は「太鼓形」に加え、出土した7種類10点の埴輪を全公開。儀式用の杖を模した「石見型」、矢の入れ物の「靫形(ゆぎがた)」、裸馬の「馬形」などが一同に並ぶ。また町教委は埴輪が並んだ古墳の様子をコンピューターグラフィックスで復元し、動画「バーチャル現地説明会@宮古平塚古墳」(QRコード)で公開している。
月曜休館。観覧料300円(高校・大学生150円)。問い合わせは唐古・鍵考古学ミュージアム(0744・34・7100)。【皆木成実】
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