残薬を薬局に持参する取り組みを紹介した大分市薬剤師会のチラシ=同会提供

 飲み忘れなどで服用しなかった「残薬」を活用して医療費の無駄を減らそうと、大分市薬剤師会は、かかりつけの薬局に残薬を持参するオリジナルの専用袋を大分、由布両市の薬局計243店で無料配布している。回収した残薬は、成分が有効なものを選んで再利用する。

 同会によると、高血圧や糖尿病といった慢性疾患の患者に薬の飲み忘れなどが多く、残薬の原因になっているという。同じ薬を処方されることが多いため、残薬を薬局に持参すれば、薬剤師が医師と相談した上で再利用できるものを活用し、新たに購入する薬の量を減らしてくれる。

 同様の取り組みは、2012年に福岡市薬剤師会が全国に先駆けて始め、同市では約8割の残薬が活用できたという。患者自身の支払い負担が減るだけでなく、医療費の削減にも貢献できる。取り組みが全国に広がれば、年間3200億円の薬代を削減できるとの推計もある。

 袋は、残薬が発生しやすい患者を中心に各店舗100枚を配布する。同会の担当者は「全国的に薬が不足している一方、自宅に薬が余っている方も多い。持参していただければ、社会にもご自身にもプラスになる」と活用を呼び掛けた。【神山恵】

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