7日に投開票が行われた東京都知事選は、現職の小池百合子知事が2位に100万票以上の差をつけ、圧勝という結果になりました。取材を通して見えてきたのは2つの勝因でした。


■大きな百合の花束 自公が祝福

3選を遂げた小池知事。出迎えた都の職員からも、支援を受けた都議会公明党からも、贈られたのは大きな百合の花束です。中でも、ひときわ立派な花束を用意したのは都議会自民党でした。

選挙前には、独自候補を立てられずにやむなく小池氏の支援にまわる自民党と、党派色を消したい小池氏の間には握手も拍手もなく、重い空気が流れていましたが“圧勝”のもたらす効果は大きいようです。

都議会自民党 菅野弘一幹事長
「(Q.雪解けと言えそうですか)まあそうですね。今までのことは今までのことで、これからは都民のためになることは一緒になってやっていく」

小池知事は勝因について“実績が評価された”と話しますが、選挙戦を振り返ってみると、それだけではない周到な戦略が隠されていました。

■自公議員は…政党色は隠し支援

ただ勝つのではなく圧勝する。それが小池陣営の目標でした。17日間の首都決戦、有権者はどう動いたのか。出口調査で読み解きます。

東京都知事選 ANN出口調査
『支持政党別』の投票先
自民:67%
公明:81%
立憲:14%
維新:32%
共産:12%
国民:29%

3選を果たした小池氏。支援を受けた自民党と公明党の支持層を手堅くまとめたことが他候補を突き放す要因になりました。

その自公両党は政党色を出したくない小池氏の意向を受け、ステルス支援を展開しました。演説会場近くでお揃いのポロシャツに着替える集団。小池陣営に確認したところ、公明党都議と、その関係者だといいます。

別の日にはビラ配りをする都議も。マイクこそ握りませんが、連日多くの公明党議員たちが小池氏の応援に駆け付けていました。支持者にも熱が入ります。

公明党支持者
「一生懸命応援するよ。人の100倍応援したい。知り合いには『席をとるからここに来て』と」

同じステルス支援でも、裏金問題で逆風にある自民党議員は対照的です。離れた場所からひっそりと演説を見守ります。

自民党 押見隆太大田区議
「(Q.お話を聞けないですか)…。(Q.きょうは応援ですよね)…。(Q.あまり目立つと良くない)…」

知事選の協力体制に関する自民党都議会の内部文書によると、小池氏側との取り決めで表立った支援は制限されていたといいます。

都議会自民党の内部文書
「選挙事務所にて第一声を行うようですが、主にメディア向けのため、議員の参加・動員はございません」
「選挙車の運行に都議会自民党は一切関わりません」

あくまで求められているのは、ビラ500枚の配布やハガキ500枚の宛名記入といった裏方作業の協力です。

自民党都議
「自民党の票は欲しいけど、関係はバレないようにしろということ。知事選なんて、みんな真面目に応援していないよ」

水面下で動いていたのは自民党の支持組織です。今月2日に都内ホテルで開かれたのは300の団体から成る、各種団体協議会の総決起大会。小池氏も駆け付けました。

小池百合子氏
「皆さん選挙です。先行してるとかリードしてるとか、あれは陰謀です。どうぞ皆さん、ここで締めないと、わたくし小池百合子3期目ができません。皆さんのスマホ、いっぱいお友達、業界の仲間入ってますよね。あいうえお順で、費用は皆さんに持っていただいて、あいうえお順に上からどんどん掛けていただきたい。きょうはあ行からさ行。次はな行から。お友達、電話してください。『小池 金メダル 1票入れてね』お願いしていただきたい」

反応は上々だったようです。

東京都自動車整備振興会
「感激しました」

東京都民間保育協会
「(Q.小池さんが最後にあいさつをしましたが)顔だけ出して帰っちゃうことが多いものですから。彼女なりのやり方なんだろうが、誠意を見せるというか、一生懸命なところは見える」


■女性狙った戦略 無党派の3割を

東京都知事選 ANN出口調査
『無党派層』の投票先
石丸伸二氏:36%
小池百合子氏:32%
蓮舫氏:16%

こうして自公の支持層をまとめただけではなく、無党派層の3割を取り込んだことも圧勝の要因です。そこには小池陣営の選挙戦略がありました。

小池陣営幹部
「無党派層は女性の割合が多いので、子育て世代や現役世代の女性が共感する政策の実績を打ち出していくと。それがおのずと無党派対策になった」

告示日の出発式には子育てに励む母親たちを集めて、女性が応援する小池氏を印象付けることもしたといいます。選挙戦を通じてチルドレンファーストを強調することで、無党派票を獲得しました。全ては圧勝するためです。

小池陣営幹部
「安定した都政運営を考えた時、勝ち方は知事の影響力に関わってくる。ただ勝つだけではダメだったのでホッとしている」 

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