米軍は8日夜、沖縄本島の米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)でパラシュート降下訓練を実施した。今年5回目。日米両政府は降下訓練について、沖縄本島北部沖の伊江島(同県伊江村)で実施することで合意し、市街地に囲まれた嘉手納基地での訓練は「例外的な場合」としている。県は「合意に反する訓練が常態化している」として中止を求めてきたが、米軍は再び嘉手納基地で強行した。
8日午後7時半ごろから、上空の米軍機から飛び降りた米兵たちがパラシュートで次々と嘉手納基地に着地した。
降下訓練はかつて沖縄本島中部の米軍読谷(よみたん)補助飛行場(2006年に全面返還)で実施されていたが、基地外に落下する事故が相次いだ。日米両政府は1996年に合意した日米特別行動委員会(SACO)最終報告に基づき、訓練場所を伊江島の米軍伊江島補助飛行場に移した。しかし、その後も米軍は嘉手納基地で訓練を繰り返し、23年12月~24年4月は毎月1回、5カ月連続で実施。予定していた5月の訓練は天候不良を理由に中止していた。
米軍は嘉手納基地で訓練する理由について、伊江島補助飛行場の滑走路が劣化し、改修するまで訓練に使う大型機が安全に離着陸できないためと説明している。嘉手納基地を拠点とする米空軍第18航空団のニコラス・エバンス司令官(准将)は4月下旬、報道陣に「訓練している特殊作戦部隊の隊員は経験豊富で、目標地点に安全に着地している。国外でも訓練しているが、嘉手納でしかできない訓練もある」と述べている。【比嘉洋、喜屋武真之介】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。