林芳正官房長官は5日の記者会見で、米兵が沖縄県内で性犯罪を犯したと政府が把握した場合、今後は沖縄県など地元自治体に必ず連絡すると表明した。沖縄で米兵による性的暴行事件が相次いだにもかかわらず、政府が地元と情報を共有せず、反発を招いたことを踏まえた措置。どの程度の情報を伝えるかについては、被害者のプライバシー保護の観点から事案ごとに判断するとした。
同日から運用を改め、沖縄県にも伝達したという。
林氏は「特に全国の約70%の在日米軍専用施設・区域が集中している沖縄においては、米軍人による犯罪予防の観点から、迅速に対応を検討する必要があることに留意する」と言及。「関係省庁で連携の上、可能な範囲で地方自治体に情報伝達を行う」と語った。
例外的に伝達しないこともあり得るのかとの質問には「被疑者により犯罪が行われたと認められる事案については、例外なく情報伝達を行う」と答えた。その上で「被害者のプライバシー保護の観点から、事案ごとに可能な範囲の内容を提供する」と述べ、案件に応じて伝達情報を絞り込む可能性を示唆した。
伝達するタイミングは「捜査当局による事件処理が終了した後」だと説明。「不起訴事案については被疑者により犯罪が行われたと認められる事案に限り概要を伝達する」とも語った。
沖縄では昨年12月と今年5月に米兵による性的暴行事件が発生し、捜査当局が外務省に情報提供したものの、県や防衛省には伝達していなかった。外務省が伝達しなかった理由について、林氏は「捜査当局が公表していなかったため」と説明。今後は外務省から防衛省を経由して沖縄県や関係市町村に連絡するとした。
林氏の表明に先立つ5日、外務省の岡野正敬事務次官が外務省でエマニュエル駐日米大使と約15分間会談し、米兵事件について「強い遺憾の意」を伝達した。エマニュエル氏は「深い遺憾の意」を示し、「改善策を考え、問題を迅速に解決する必要がある。研修と教育に重点的に取り組む」と述べた。【鈴木悟】
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