「夜間に子どもが発熱。救急病院に連れて行くべきか」-。こんな保護者の悩みを解決しようと、県内の小児科医有志が夜間休日に患者の自宅を訪れて診療する県内初の往診サービス「ドクターカミング」を始め、1年になった。医師たちは「子どもが夜間に何時間も待たされ、病院側も逼迫(ひっぱく)している。沖縄の現状を変えたい」と意気込む。(社会部・下里潤)

 有志4人の1人、知花愛里医師(40)は今月1日、那覇市国場に同名のクリニック「ドクターカミング」を開院。往診はほとんど利益が出ないため、クリニックの利益で補い、持続可能なサービスを目指す。

 往診はクリニックが休診の火、金曜日と土、日曜日の週4回実施。曜日によって異なるが午後7時~午前0時に、医師が自家用車で自宅に向かう。

 往診は専用アプリで依頼する。医師は50種類以上の薬を携帯しており、診療内容に応じて数日分がその場で渡される。往診による追加費用は発生しない。大阪府や兵庫県でも志を同じくする医師が同様の取り組みを行っている。

 沖縄の往診範囲はクリニックから16キロ以内。一部を除き沖縄市以南をカバーしている。今後も仲間を募り、将来的には中部にも拠点を置いて対応エリアを広げたい考えだ。

 県内では軽症でも救急外来を受診する、いわゆる「コンビニ受診」が多いと指摘されるが、知花医師は「初めての子どもだと軽症でも親は戸惑うもの。医師が『大丈夫ですよ』と一言述べるだけで安心する」と理解を示す。

 一方、疲弊した医師の休職などで小児科医の慢性的な不足が続き、那覇市立病院などが夜間救急を制限しているのも事実。知花医師は「軽症者は私たちが引き受け、大病院は重症者に専念してもらう。そうすることで医師の負担も軽減していきたい」と力を込めた。

 診療の問い合わせは同クリニック、電話098(995)6644。

(写図説明)夜間休日の自宅往診サービスを説明する知花愛里医師=4日、那覇市国場・クリニック「ドクターカミング」

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