東京・練馬区で、アパートのごみ箱から生後間もない赤ちゃんが見つかり、22歳の女が逮捕された事件で、女が「出産したことがばれたくないと思った」と供述していることが分かりました。


■殺人未遂容疑で22歳女を逮捕

事件の発端は先月20日夕方のことでした。真夏日に迫る暑苦しい一日となった練馬区。環状七号線から一本入った路地に建つアパートの外に置かれたゴミ箱から“か細い泣き声”が聞こえました。

通報した住人
「ここのごみ箱じゃなくて、もう一つごみ箱があって。その中で泣いていた。まさか人間だとは思わない。ネコでも入っているのかなと開けてみたら、人間の腕みたいなものが見えて。びっくりして110番して、警察官に来てもらって中を確認してもらった」

間口30センチ×40センチ、深さ60センチのごみ箱の中でタオルが敷かれたビニール袋にまだへその緒がついた赤ちゃんが入れられていました。

警視庁によりますと、赤ちゃんはその場に12時間ほど置かれていたといいますが、命に別状はなく健康だといいます。

この事件をめぐって3日、赤ちゃんの母親とみられる、北川望歩容疑者が殺人未遂の疑いで逮捕されました。

北川望歩容疑者
「出産したあと、すぐにごみ箱に赤ちゃんを捨てた。殺意はありませんでしたが、逮捕状に書かれていることをしたことは間違いありません」

北川容疑者は妊娠している確信がなかったため、一度も通院していないと話しているといいます。


■4人共同生活 接点は“メン地下”

北川容疑者が赤ちゃんを生んだのは、ごみ箱が置かれていたアパートのすぐ隣のマンションでした。ここでは男女4人で共同生活をしていたとみられています。

警視庁は、マンションには20代の男性と、北川容疑者以外の20代の女性2人も住んでいた可能性があるとしています。

部屋は7畳ほどの一室と小さなキッチンがある1Kだといいますが、人の出入りは「もっとあった」という証言もあります。

同じマンションの住民
「結構年が離れてそうな男性だったり、若い男性だったり、出入りしているのは見かけましたね。(Q.毎回別の人)そうですね。3回ぐらい見かけましたけど」

この目撃されていた男性との関係は分かりませんが、同居していた3人との共通点が明らかになりました。

小さなライブハウスなどでライブ中心の活動を続ける通称“地下アイドル”。特に男性の地下アイドルは“メン地下”と呼ばれ、熱狂的なファンに支えられているといわれています。

捜査関係者によりますと、同居していた4人は同じ“メン地下”の追っかけをしていたことをきかっけに仲良くなったといいます。

男性が声をかけたことで同居生活も始まりました。

同居する男性(20代)
「北川容疑者は関西圏に住んでいるので、何度も来るのが大変だから一緒に住むことを勧めて、住むことになった」

北川容疑者の追っかけについて、知人が事情を話してくれました。

北川容疑者のライブ仲間
「ライブ見た後にチェキっていうシステムがあって、1枚1000円ぐらい。毎回いて、お金もめっちゃ使って。月3桁(100万円)使ってたと思う。おなかが明らかに大きくなっていたから『妊娠しているんじゃないか』と」

ライブ会場での北川容疑者を覚えているという人は他にも。

別のライブ仲間
「“トップオタク”なので、かなりがんばっていたと思う。前は関西から新幹線でちょくちょく来るイメージだったが、去年8月ごろからは、上京したのか全てのライブに来ていた」


■“遺棄翌日”にもライブ参加か

妊娠中だけにとどまらず、赤ちゃんが見つかった翌日にもライブ会場で北川容疑者の姿は目撃されています。

別のライブ仲間
「私が見る限りはまったく変わった様子はなかったし、周りもいつも通りだった」

供述などから、北川容疑者は部屋の浴室で出産したとみられ、同居していた3人はその時、家の中にいたとされています。

同居していた男性は警視庁に対し、北川容疑者との関係についてこう説明しているといいます。

同居する男性(20代)
「自分は父親ではない。北川容疑者にも他の女性2人についても恋愛感情はない。北川容疑者が妊娠している認識はなかった」

赤ちゃんの父親が誰かはまだ分かっていません。

捜査関係者などによりますと、北川容疑者は動機について「出産したことがばれたくないと思った」と話し、“わが子”についてはこう語っているといいます。

北川望歩容疑者
「自分が出産した赤ちゃんをじっくり見ずに捨てたので、赤ちゃんの性別は分からない」


■防犯カメラに“おなかが膨らんだ女性”

警視庁担当の社会部・石出大地記者に聞きます。

(Q.容疑者の特定に至った決め手はなんですか)

石出大地記者
「決め手の1つは“おなかが膨らんだ女性”を事件前の防犯カメラが捉えていたことです。防犯カメラ捜査で、子どもを遺棄した女性を追っていくと、たどり着いた部屋には女性3人の出入りがありました。3人それぞれの事件前の行動を防犯カメラで確認したところ、おなかが膨らんでいる北川容疑者を確認しました。そこから捜査を進めた結果、殺人未遂容疑での立件が可能と、警視庁は判断しました。ただ、北川容疑者自身は、出産自体は認めているものの『妊娠しているという確信は持っていなかった。通院は1度もしていない』などと話しています」

(Q.防犯カメラでおなかの膨らみが確認できたということは、周りは気付いていた可能性は)

石出大地記者
「北川容疑者は、男性1人・女性2人の3人、合わせて4人で同居していますが、いずれも『北川容疑者の妊娠は知らなかった』と警視庁に説明しているということです。女性2人は『妊娠は本当に気付かなかった』『出産したことを知らなかった』としていて、男性は『妊娠している認識はなかった。太ったと思って、からかうようなことを言っていた』と話しています。警察は今後、北川容疑者が母親であるかどうかの確認を含め、DNA鑑定などで特定を進めていく方針です」

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