[リポート’24 名護発]

 全国で3番目に待機児童が多い名護市。待機児童解消の有力な一手だった認定こども園の新設計画が頓挫し、新たな受け皿の整備が喫緊の課題となっている。待機解消は待ったなしで、市は、小規模保育事業所の新設や保育士確保に奔走している。(北部報道部・松田駿太)

 名護市の2023年4月1日時点の待機児童数は56人。待機児童数が411人で全国で最も多い沖縄県内41市町村の中でも最多となっている。

公募の法人辞退

 市は、待機児童の受け皿となる定員131人の幼保連携型認定こども園を同市大北に今年4月1日に開設予定だった。

 公募型プロポーザル方式で、複数の企業から埼玉県に本部がある社会福祉法人「タイケン福祉会」が受注した。だが、周辺住民から、子どもの声が響かないよう配慮してほしいとの声が上がり、子どもが遊べる屋上スペース付きの2階建てから、3階建てに設計を変更した。法人は建設費が膨らんだことなどを理由に2月に辞退した。

 設計変更によるスケジュールの遅れを受け、市は昨年度から対応を検討。新年度から、新たに保育士を採用し、市立幼稚園・こども園の定員を増やした。5歳児のみだった市立大北幼稚園は3、4歳をそれぞれ15人ずつ計30人を受け入れている。市立緑風こども園では1~5歳児の定員を19人増やした。

 市は本年度、0~2歳児を対象にした定員19人以下の小規模保育事業所2カ所の開設を予定している。今後、運営企業を募集する予定で、既存の空き物件を保育施設向けに改修するなどして、早期開設を目指す。

保育士60人不足

 保育士確保も喫緊の課題だ。 市が昨年度実施した保育士数の調査では、市内48のうち19の保育施設で計60人の保育士が不足していることが明らかになった。

 市は昨年10月、学校法人三幸学園(東京都)と連携協定を締結。今年4月、通信教育によるスクーリング授業で保育士資格や幼稚園教諭免許を取得できる「名護スクール」を同市東江に開設した。対面授業を土日に実施するなど、社会人でも働きながら保育士資格を取れる体制を整えることで、保育士を増やしたい考えだ。

 このほか、20年度から始めた保育士の緊急確保助成事業では、市内の認可保育施設に新たに就職する人を対象に、フルタイム・パートタイム共に1年目は15万円、2年目にはフルタイム15万円、パートには7万5千円を支給する。

 学生や、資格があるのに保育士をしていない「潜在保育士」を対象に市内保育施設の見学ツアーを企画するなど、保育士確保に努めている。 子育て支援課の担当者は「待機児童解消に向けて、できることから何でもやっていきたい」と話した。

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